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いじめ問題の解決に親としてどのように取り組めばよいか

 いじめ根絶の取り組みは、子ども達に、悪いことをすれば必ず発覚し、ペナルティを受けるのだという社会のルールを教え、いじめがまかり通っていた子ども社会を秩序ある社会に立て直すという取り組みである。
 いじめにあっていると親が感じたとき、親としてやるべきことは、
(1)
学校を休ませる
 子どもにとって、いじめがわかったら、「裏切り者への制裁」で、いじめが陰湿化し悪化するから、絶対に学校に行けない。いじめにあいながら親に相談しようとしないのは、親が学校に行かせようとするためだ。
 したがって、親がいじめを感じたら「いじめが解決するまで身の安全を守るため、学校を休みなさい」と子どもに伝える。親は子どもの味方であることを子どもに理解させ、信頼関係を確かなものにする。子どもが外出するときは、親は必ず同行する。クラス全員が加害者ということ親は忘れてはならない。
(2)
家庭で、明るく、楽しく、子どもと過ごせる時間をたくさん持つ
 子どもはいじめでつらい思いをしてきている。家ではいじめには触れず、できるだけ親子で楽しい時間を持つようにする。そうすれば、いずれは子どもが自発的にいじめについて話し出すはずである。
(3)
子どもの話をまるごと真実として扱う
 いじめで傷ついた心は、健康な人にとって1のダメージを10に感じてしまう。いじめの本質は被害者にしかわからない。だから、親はその言葉をまるごと受けとめなければならない。
(4)
いじめに立ち向かわせない、耐えさせない
 いじめは犯罪であり、嵐のようなものである。子どもはいじめに対して無抵抗であることが最大の防御であると思っている。だからこそ、親は「早く避難しなさい」と言ってあげなければならない。無力だからこそ、逃げる必要があるのだ。
(5)
親が学校に相談する際は、必ず子どもの了解をとる必要がある
 親子の信頼関係のため、子どもにきちんとつぎのようなことを説明する。
・いじめが続いている状態で学校に行かせることは絶対しない。
・あなただけの問題ではなく、クラスの子のためにも解決しなければならない問題である。
・加害者の子に悪いことだとはっきり自覚させることがその子のためになること。
・学校はいじめを解決する義務があること。
以上のことを丁寧に話し、子どもに納得してもらうことが大切である。
(6)
学校と話し合う
 校長か副校長に同席してもらい、親は「いじめがあったという事実を伝えにきた」という立場をとる。いじめで何が起こっていたかは被害者にしかわからない。加害者はいじめの事実を百%認めるはずがない。いじめは大人のわからないところで行われているからこそ、いじめなのである。
(7)
いじめの解決を学校に委ねない
 親としては「わが子が再び安心して楽しく登校できるようにいじめをなくす」ことである。いじめの問題は学校だけでは解決できない。学校と親、保護者全体で取り組んでいくべき問題である。一緒に具体的な方法を話し合いながら進めていかなくてはならない。
(8)
加害者に伝える
 今のいじめの加害者は被害者以外はクラス全員である。しかし、その中に特にひどいダメージを与えた子がいるなら、加害者の親子、被害者の親で話し合いを持つことは必要である。直接話し合わず、学校という場で、校長等複数の教師とで話し合いを持つ。
 責任追及に終始してはいけない。加害者の親に、あなたの子が中心として、いじめがあったという事実を伝え、解決のために、加害者の親であるあなた達にも一緒に取り組んでもらいたい、ということを伝える。治療費の請求を望むのであれば、弁護士などに間に入ってもらうとよいと私は思っている。ただし、建設的な前向きの話し合いができなくなり、泥沼化する可能性はある。
(9)
クラス・保護者全体への周知
 クラス全体に事実を伝える。「全員が何らかの形でいじめに関与したと考えている。被害者が安心して登校できるよう、取り組むと同時に、つぎの被害者が出ないよう学校と保護者全体で取り組んでいく」と伝える。
 その際、臨時の保護者会を開いて親に伝えることも必要である。
 誰が何をしたのか、個々の子どもに聞くことは意味がない。そんなことをすれば、みんなが保身に走り、他人に責任を押しつけ、当事者意識がなくなってしまう。重要なのは「全体で行われたことだ」というメッセージを伝えることだ。いじめをなくす取り組みは全員で行わなければならない。誰もが被害者になり得るということを保護者達が理解することが最も重要なのである。
 学校と親は一丸となっていじめという悪の根絶に取り組む。その態度で、子どもたちが「これはどうやらただごとではない」と感じ、いままでまかり通っていた嘘や言い訳が通用しなくなる、と思わせることが重要である。だからこそ、子ども一人ひとりが何をやったのか聞いてはならない。子どもは言い訳し、認めて謝れば許されたと思ってしまうからである。
(10)
転校する
 いじめの解決に親が取り組むのは膨大なエネルギーと時間を必要とする。子どもが学校に通えない時間も短くはない。私は転校を勧める場合もある。
 しかし、いじめの心のケアはぜひ行ってほしい。転校してしまえば、いじめ被害は心に残り続けるのだ。児童相談所、教育相談所、精神科クリニックへの通院をお勧めする。
(
山脇 由貴子:1969年生まれ、東京都児童相談センターの児童心理司。年間100家族以上の相談や治療を受け持つ。国内外を問わず幅広く活躍。臨床現場の生の声を発信し続ける)

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