短時間の徹底反復学習で基礎学力をつくる
朝自習、朝読書、朝の会などの時間を基礎学力の時間としています。算数や国語などすべての教科は基礎の土台づくりが大切です。
「読めて書ける」「たし算、ひき算、九九」が基礎中の基礎。たとえば九九なら、九九のカードを作り、そのカードを見せた瞬間にパッと答えが出るくらいに鍛えます。基本的な「読み・書き・計算」が速くできるということが、私の考える基礎中の基礎です。
だから、私はどの学年を受け持っても、最初は10マス計算のたし算ひき算と音読で基礎の力をチェックします。5,6年生になると、簡単すぎると言う子もいますが、10マス計算を10秒でやれるかと言うと、できる子はほとんどいません。いかに基礎ができていないかわかります。
私の授業は集中、高速、超高速です。ですから、音読も計算も、圧倒的な量をこなします。超高速な分、空く時間ができるので、基礎の時間を設定できるのです。
杉渕学級では、徹底反復が特徴のひとつです。漢字テストや算数のプリントは、しばらく毎日同じプリントをやらせます。そして、それをやるときの制限時間をどんどん短くしていくのです。たとえば、10マス計算のプリントならば、最初は10秒でやらせていたのを、どんどん短くしていき、5秒を目標にさせるなど、負荷を強くすることで、ハードルを上げていきます。
できない子は、毎日同じプリントをやることで、答えも覚えるぐらいになるので「自分もできる」という感覚をつかむことができます。
クラスの中には「自分はできない」と思い込んで、やる気のない子がいます。しかし、こうした子が、徹底反復で毎日同じプリントをやるうちに、10秒かかっていたのが7秒になり、6秒になり、5秒を切るとなってくると、そのプリントだけではなく、すべての授業にものすごくやる気を出すようになるのです。
徹底反復も、毎日同じでは飽きてしまいます。教材や取り組む方法は、変化があっておもしろい企画を考えるようにしています。
音読、漢字を書く、いろいろな音読、表現読み、歌、百人一首、たし算、ひき算、かけ算、わり算、こうした基礎を6年間積み重ねると、すごい実力になります。
(杉渕鉄良:1959年東京生まれ、東京都の小学校教師。「教育の鉄人」と呼ばれる実践家、子どもを伸ばす為に命をかける熱血教師。ユニット授業研究会代表。その実践スタイルは全国の教師、保護者から支持を受ける。2003年夏、日経スペシャル「ガイアの夜明け」に出演。PHP「VOICE」や、経済誌「プレジデント」での教育シリーズに取り上げられ、各方面からの注目も高い。ユニット授業、10マス計算、表現読み、指名なし発言など、子どもの可能性を引き出すため、さまざまな工夫を凝らした教育実践を行っている)
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