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学級崩壊の実態とその解決法を考える

学級崩壊の実態と解決のための障害になるのは
(1)
核となる生徒が存在する
(2)
その生徒は注意欠陥・多動性障害(ADHD)、行為障害、反抗挑戦性障害児である
(3)
その生徒およびその親はその子の行為を正当化して、悪いとは決して思ってない
(4)
その生徒に学級の多数の生徒が同調し、教師の指示に従わない
(5)
教師は種々努力するが、限界を超えてしまった教師のなかに、うつ病、心身症になり、休職、あるいは退職をするケースがみられる
 私の場合は、発作的に「窓から飛び出そうか」と考える自分をみて、これはまずいと自分が判断し、退職という手段で解決したのです。
 学級崩壊が起こる原因はさまざまですが、問題の解決を遅らせているのは、クラスの中にいる数名の核になる生徒の存在です。諭したりしても、聞き分ける生徒ではありません。
 小学校低学年では注意欠陥・多動性障害(ADHD)およびこの障害の境界型の子どもたちが中心になる傾向があります。その子の指導のためだけ、どれだけ神経と体力を使うか外部の人にはわかりにくいものです。
 小学校高学年では反抗挑戦性障害が増え、教師に反抗することが目的であるような言動が目立ちます。
 中学以上になると行為障害の生徒が際立って多く、教師の基本的人権などは考えたりしませんから被害に遭うと悲惨そのものです。教師に同情すれば、その連中の仕返しが待っています。
 この子どもの治療法は、注意欠陥・多動性障害(ADHD)では薬の服用にあわせて行動療法等の個人精神療法を実施すること。反抗挑戦性障害や行為障害の治療は、本人だけでなく、家族も含めた治療法を実施しないと、効果は期待できません。もはや学校だけの問題ではないということです。
 教師はこの学級崩壊の解決法を求めています。心理や教育論者の意見は現場で奮闘している教師の意識とは違うように私には思われます。
 例えば、「キレやすい人は情緒が未成熟で、幼いころから周りから否定された体験が多く、常に他人に対する不信感があるのではないでしょうか。こうした子どもには、じっくりと聞き取り、みつめる時間が必要です。見えてくるものがあるのではないか」と書かれています。しかし、このようなことは先刻ご存じの教育熱心な教師でも学級崩壊を経験していのです。
 あるいは「反抗的な子どもには、最初にどんどんしゃべらせるのです。その後、具体的な事実を提示し認めさせます。そして、対応策を教師がいくつか示して、そのなかから選ぶようにさせます。最後にその内容を復唱させます」
「自分は悪くないと言い張る子どもには、まず心を受け入れることが必要です。そのとき君はどういう気持ちだった、という具合に子どもの感情や思いを引き出します。その後、今度と同じようなことがあったら、どうすればよいか二人で話し合い、他の行動の仕方を二人で確認するのです」と書いています。
 しかし、普通の子どものように話し合いのできない、会話の成り立たない子どもにこのような指導方法で解決できるでしょうか。私は疑問に思います。
 スクールカウンセラーの役割をもっと機能的にしてほしい。日本のカウンセラーは行動療法の研究も行って反抗挑戦性障害や行為障害の治療に役立ってもらいたい。個別的な心理療法が必要な場合は、外部の機関を紹介する。また、必要によっては保護者と懇談する。
 このように、精神保健と予防的な活動することは、学級崩壊の解決にとって参考になるのではないか。
(
福永宣道:1943年大阪市生まれ、大阪府公立高校教師(10年間)、生徒の暴力により退職、40歳で医学部入学し、近畿地方の診療所長として僻地診療(7年間)の後、東京で勤務医)

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