子どもたちに強制的な指導をするとき、よい結果を出すためにはどうすればよいか
中・高校生の理想の教師像は「気軽に話せる」「授業がわかりやすい」「ユーモアがある」といったことが多い。子どもにとって、強制的な指導をする教師を受け入れにくくなっている。
それゆえ、子どもたちに強制的な指導をする前に、まず、子どもたちに対して、そのことを実施する意味・理由を、しっかりと説明しなければならない。子どもたちが、これを了解することで指導を受け入れやすくなる。
また、強制的な指導は、一貫性をもち、規則的に行わなければならない。教師の機嫌が悪かったから、とか、他の教師がいると急に怒ってしまう、とか、私ばかり怒られるといった気持ちを子どもたちがもったとしたら、教師との信頼関係は崩れてしまう。
多くの教師の実感として、教師と子どもの間にある程度の良好な関係がないと難しい。でないと子どもから嫌われる。
本当に自分のことを思って怒ってくれると子どもが感じるには、それ以前の心の交流や、子どもたちにも伝わるような明確な基準が必要である。それなくしては、怒るという指導をする意味がなくなってしまう。
子どもとの心の交流には、どのようなものがあるだろうか。ユーモアや話しやすさがなければならない。教師自らが子どもたち全員に声をかけ、わずかな子どもの努力や変化にも見逃さず言葉や表情にして伝えることが大切である。その際は、教師の過去の経験や考え方などを、ユーモアも交えて話すとよい。ただし、他人の批判や自慢話はさける。
強制的な指導でやらせた以上、子ども自身が「やって良かった」と思える結果を出さなければならない。つまり、そのような結果を出せるような指導課題を与える必要がある。
強制的にやらせたあとは、徹底的に面倒をみて結果を出すようにし、その努力をほめることによって、はじめて「やらされたけど、やってよかった」と思えるのである。
つまり、そこまで面倒を見ていく覚悟なくして、強制的な指導をしてはならないのである。
子どもの間違った行動に対してすぐに叱責してしまったりするのは指導の結果がすぐにあらわれない教師のあせりである。子どもに対して期待して持つ、寛容さをもてない、教師の自信のなさゆえである。
(若菜秀彦:1961年生まれ、中学校教師、教育委員会指導主事を経て千葉県浦安市立中学校長)
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