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新学期の四月は最大限のエネルギーを投入して学級づくりをする

  担任は自分のカラー,自分の得意になるものを持つべきです。例えば「あの先生に担任してもらうと、授業で活発に発言する子どもたちになる」など評判になるものがあることです。
 学級の子どもたちが決まると、指導要録を読んで、苦手な面を意識させずに、長所を発揮させる手がかりを探すことです。子どもとの相性を見て、どうかかわったらいいかを探るのです。必ず問題児と呼ばれる子どもがいるものです。そのような子どもに、けじめある指導をしても、大きく包み込む姿勢を崩さないことです。根競べの覚悟をして臨むことをしないかぎり、担任の負けになります。
 学級という小さな社会で一年間過ごしていく中でさまざまな出来事が起き、安楽な日はないでしょう。何も問題がない学級なんてあり得ないのです。
 遊び心を持って、ユーモアあふれるような演技のできる「ゆとり」がほしいです。その一方で「善悪のけじめ」「命にかかわることに対する厳しさ」「よわいものいじめ」などに毅然とした態度を子どもたちに示すべきです。「先生は、このことは決して許してくれない」と、しっかりと子どもに意識させたいものです。
 「学級びらき」は、どんな子どもでも「今年こそは」という期待感に胸を膨らまして登校してきます。「今年の担任の先生は、なんだかぼくのことを認めてくれているみたい」「明るく元気な先生でうれしい」と、子どもたちは担任を厳しく敏感にとらえてきます。
 始業式を終えた教室に、ある担任はつぎのような「誓いのことば」を書いておきます。
(1)
私たちは、命を大事にすることを誓います。
(2)
私たちは、弱い立場、少数の意見を大事にしていくことを誓います。
(3)
私たちは、教室は「間違えることによって、みんなががんばるところ」であることを誓います。
 そして、子どもたちを前にして「この教室は、みんなが『かしこい人間』になる社会です。みんな違いがあっても、重要ではありません。問題は、自分をきたえていくために、どのくらいがんばっていくことができるか、です。この三つの誓いは先生も守ります。みんなも守ってほしい。住みやすい教室にしたいと思います」と話します。その後、机を後ろにさげて、みんなで円をつくって、肩を組み合って、誓いを言います。そして、記念写真。これを教室の前面に掲げておきます。
 このような出発式は新しい学級の船出として是非ともしなくてはなりません。たとえ誓いが崩れたとしても、この儀式が意味のあるものになっていくのだと信じて。
4月の学級づくりの闘いとは
1 子どもたちは前年の学級生活で刷り込まれたことが鮮明に残っている
「そうか、そんなやり方をしていたのですね。でも○年生になったんだよね。どうしたらいいのかなあ」と、ゆったりと持ちかけていきましょう。教師の都合のいい方向に結論づけないことです。
2 時間管理を徹底する
 学級生活をリズムあるものにしていくために、時間にルーズにならないことです。例えば、一つの活動をする場合、「5分でやりましょう」と言ってベルタイマーを回し時間意識をもたせます。
3 「やろうとすること」を賞賛する
 学級づくりで一番重要なのは「やる気」を重んじていく担任の姿勢ではないでしょうか。間違ってもいいから、挑むことを大切にしたい。
4 厳しくかわいがる
 「甘やかせて育てている」というのが、今の子育ての問題点と思います。子どもを教育していく基本は「厳しくかわいがる」ことに尽きるだろうと考えています。
「かわいがる」とは「愛する」ということです。人間として尊重することです。
「叱り方・ほめ方」のあり方は、
(1)
頭ごなしの叱り方をしない。その子をよく観て見守って成長の足がかりを探れ。
(2)
小学校の低学年は、みんなの前でほめ、叱ることが社会の規範を学ぶことになる。
(3)
小学校中学年以上はみんなの前で叱るのはだめ。ほめるよりも「ありがとう」「先生はうれしい」、「残念だ」「先生は悲しい」という感謝や率直に意見を言うと、子どもたちの心に訴える力を持っている。
(4)
失敗やまちがいを叱るな。やる気になれない、その子どものこだわりにも、耳をかたむけていく。
(5)
叱っても、ほめても、フォローアップを忘れないこと。叱りっぱなしでは後味の悪いものになる。
5 自己決定をつねに促す
 子どもたちに自らの学級生活の仕方や願いを選択させ、実行していくように求めていく。
 担任としての願いを語りながらも、子どもたちに「どうしたいのか」「どうしなければいけないのか」を考えさせるのです。
(
前田勝洋:1942年生まれ、元愛知県公立小学校校長。学び合う教師を常に意識して小中学校を学校行脚)

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