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学級開きで、子どもたちにどのようなことを伝えればよいか

 日本の学級は暗すぎる。もっと明るく、笑いとユーモアのある学級をつくらねばならない。子どもの変化に対応した学級のルールをつくり、学級を楽しいものにし、一人ひとりの子どもの居場所をつくらねばならない。
 新しい学級を担任したとき私は、子どもたちに
「この学級の子どもたちをパッとみて、『うれしいなあ』と、思いました。どうしてだと思いますか。それはねー『笑顔』のステキな子どもが多いからですよ」と、いかにもうれしそうに言う。半分以上は演技である。
 このように第一声でいうと、ほんとうにステキな笑顔の子どもが出てくる。どんなことがあっても、第一声は絶対にほめることである。
 叱ることは、あとでいやになるほどしなければならない。そうしなければ、子どもは育たない。
「Aくんは、元気よさそうね。先生もきみのように元気をだしてやるから、よろしく頼むよ」という調子で、目についた子どもをつぎつぎにほめる。一人ほめるごとに、子どもたちは、まるで自分がほめられているようにうれしそうな顔をする。
「今、先生が何人かほめましたね。とても感心したことがあります。それは、Aくんをほめたのに、他の子は自分がほめられたようにうれしそうにしていたことです。他人のことを自分のことのように喜んでいるのです」
「とてもいいことです。本当にいいクラスですね。こんないいクラスを担任できて、先生はうれしくてたまりません。先生も、このクラスの子のように、明るい先生になるように努力するから、よろしくね」こう言うと、多くの子どもの顔はうれしそうである。
「有田学級に入って、一番大切なことは何だと思いますか」と、問いかける。すると、子どもたちはあいさつすることなど発言する。子どもたちの発言にいちいちうなずきながら、
「有田学級で一番大切なことは、よく笑うことです」と言う。
「では、笑いの練習をしてみましょう。セーノ ドン」。しかし、二~三人しか笑わない。この二~三人を一人ひとり大いにほめる。この笑いの練習は一カ月続ける。そうすると表情が変わる、明るくよく笑う学級になる。
 子どもたちは、家に帰ってから学校のできごとを話す、保護者も喜ぶ。ものはいいようである。ほめられて腹を立てる人はいない。子どもはほめられる方向に成長する。
「あしたから持ってくるものをいいます。第一に考える力、第二に書く力、第三に発言する力を持ってきなさい」と私は言う。
 子どもは「先生、ぼくは三つとも持っていないから、持ってこれません」と、いう子がいると、
「きみは、発言する力を持っているね。それに、考える力も持っているね。きみはすでに、二つの力を持っているよ。すばらしい。実は三つとも持っていなくてもいいのです。この三つの力を、先生がみんなにつけてあげます」これで学級の目標を明確にしたことになる。
「この一年間にみんなを何らかのプロに育てたいと思っています」
「すでに、Bくんは笑いのプロのようだし、Cくんは挨拶のプロのようです。今日はこの二人をまずプロにします。明日からもどんどんプロをつくります」
「プロには、二つの条件があります。一つは他の人よりすぐれていること。もう一つは、他の人に教える義務と権利があることです。プロになった人は、プロの仲間をどんどん育てていきましょう」
(有田和正:19352014年、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授、東北福祉大学教授、同特任教授を歴任した。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、数百の教材を開発、授業の名人といわれた)

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