子どもの変化に教師の指導がついていってないので学級づくりができていないクラスが多い
私は、ある年度に300以上のクラスを参観する機会があった。そのとき、あまりにも学級づくりができていないクラスが多いことに驚いた。
学級というのは、「助け合い」「みがき合い」「けん制し合い」の三つの機能があってはじめて、学級といえるのである。この中のどれが欠けても、学級ではなくなる。烏合の衆になって、命令されたことでも、きちんとできない。授業の形はしているが、助け合いがないし、みがき合いがまったくない。
その原因は、子どもの変化である。この変化に教師の指導がついていってないのである。今や学級づくりも、昔の指導ではできなくなっているのである。
子どもの変化にどう対応すればよいか。学級づくりの原点は「助け合いの精神を育てる」ことである。
少しでも、助け合いの場面を目にしたら、それを取りあげて、具体的にほめることである。子どもたちは「ほめられた方向」に向かって伸びていく。
若い教師で、学級づくりがうまくいっている例では、教師が「ガキ大将」的存在になっている。それに、子どもがついていっている。つまり、子どもたちは、いいリーダーを求めているのである。助け合いの精神のあるクラスでは、バックアップする子どもがいるから、少しテコ入れをすれば、リーダーが育ってくる。
助け合いを育てるには、上学年では特に「男女の仲をよくする」ことがポイントになる。高学年になると異性を意識するようになり助け合いが減るからである。
わがままな子どもが増えてきた。トラブルが起こりやすい。わがままのぶつかり合いである。たいていは、叱るより、おだてた方が効果がある。「○○くんは、本当はやさしいよね」と言ってみるとよい。やさしい態度を見せれば「すごいね。やさしいんだね」と、しっかりほめる。こういうことを積み重ねていくしかない。子どもと教師の根気くらべである。
大切なことは、どこまでも明るく楽しくやることである。困った子がいると、暗くなってしまうので、笑いながら行うことが大切だ。その方が効果がある。
わがままな子でも、いいところがある。それをほめることによって、わがままを減らしていく。
「ありがとう」「どうぞ」を言わせるだけでも、クラスに「助け合い」と「思いやり」の心が育ってくる。「ありがとう」という感謝の念、「どうぞ」という思いやり、をことあるごとに育て、ほめていくことである。
助け合いの気持ちが育ってくれば、自然に「みがき合い」ができるようになってくる。
(有田和正:1935-2014年、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授、東北福祉大学教授、同特任教授を歴任した。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、数百の教材を開発、授業の名人といわれた)
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