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学級開きで父性的な担任でなく、母性的なフォロアーとして振る舞う担任への期待感と信頼をめばえさせる

 従来の学級開きは、教師が自分の実像を伝えるために、自分の教育観や子ども観を語り、今後の教育方針を語る。子どもたちによる一人一言ずつの自己紹介。最初のクラス活動としてくす玉割りや集団遊びなどであった。
 これに対して、中学校教師中川晋輔は、教師が熱心に語るような学級開きではなく「話のわかる先生、教師くさくない先生、何かそばに寄っていきたい先生」を感じさせる演出こそを学級開きの実践課題とし、教師の決意は以後の実践の中で示せばよいと指摘する。
 というのも、従来型の学級開きでは「子どもたちから見ると『何、あれは』となり、“注入型の教師”と受けとめられ、一歩身を引かせてしまいがち」だからである。
 子どもたちには「先生にやってもらいたいこと、やってほしくないことは何か、明日まで考えてきてね」と言うにとどめることで「自分の世界、自分の価値観の中に引っ張っていく父性的なリードではなく、問いかけ、内側にあるものを表現させていく母性的なフォロアー」として振る舞う教師像を示すことが、今の子どもたちに対して必要だとも指摘する。
 そして、学級開きのメインには、子ども同士の出会いをつくりだす「班やグループの紹介」といった活動をおく。この中川の学級開きは、子どもたちの願いや思いをしっかり受けとめようとする教師像を示そうとしている。また、一日限りの学級開きだけで終えるのではなく、その後も継続的に追究していこうとしている。
 学級開きを通して、教師への期待感と信頼をめばえさせる。これらを以後の実践の中で育みながら、教師は子どもたちとの内面的な人格的な出会いを紡ぎだしていくのである。
(住野好久:1964年生まれ 岡山大学教授。指導者の指導性と学習者の自主性が相互に発揮されるような授業指導や生活指導のあり方を研究)


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