子どもを動かすときは「最後の行動まで示してから、子どもを動かせ」
子どもがバラバラになり、教室が騒然となったとき、教師はしばしば子どもの責任にする。「子どもが悪い、しつけができていない」と。教室が騒然となる原因は教師にある。子どもや親の責任する教師は、いつまでも技量が伸びない。そういう教師は研究もしなしい、本も読まない。だから中堅以降になっても教師の技量は低い。
子どもを動かす法則を知っていたら、こんなことにはなになかったはずである。
子どもを、ある一つの場面で動かす時、子どもを動かす法則とは「最後の行動まで示してから、子どもを動かせ」である。
子どもを動かす秘訣はこれに尽きる。「最後までどうやっていくか」ということが分からないから、子どもは場当たり的に行動するのである。
この法則を知っただけで、ずいぶんと子どもの動かし方はうまくなる。これだけでは不安な教師には補則を示すと
(1)何をするのか端的に説明せよ
(2)どれだけやるのか具体的に示せ
(3)終わったら何をするのか指示をせよ
(4)質問は一通り説明してから受けよ
(5)個別の場面をとりあげほめよ
例えば、遠足の時の昼食の指示を考える。
(1)何をするのか端的に示す。「ここで昼食をします。この公園の中だけです」
(2)どれだけするのか具体的に示す「昼食が終わったら、帰りの仕度をしてから遊びます。つぎの集合は12時30分です」
(3)昼食、遊びが終わったら、どうするか指示する。「12時30分に集合の笛をふきます。荷物を持って、ゴミを拾ってから、今と同じ場所に集まります」
ここまで、端的にはっきりと示す。2,3分間である。
(4)質問を受ける。
指示の途中で質問を受けてはならない。途中で質問を受けると子どもたちの頭の中が混乱する。最後まで一通り説明するのである。すると、はっきりとしたイメージが描ける。それから質問を受ける。
質問の答えは端的に言う。スピーディーにやっていく。長々と聞く子には「短く聞きなさい」と言う。動作の指示の質問は短くさせたほうがよい。一度説明したことを二度言わなくてよい。「前に説明しました」と、きっぱり言えばよい。
(5)ゴミをきちんと拾った子どもなどをほめて帰校となる。ほめるのは、その場でほめるのがよい。
(向山洋一:1943年生まれ、元東京都公立小学校教師、教育技術法則化運動代表を務めてきた。教師を退職後、TOSSインターネットランドの運営に力を注いでいる)
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