授業の技量を上達させるためにはどうすればよいか
授業がうまいと思う人は、本をよく読んでいるし、研究授業も進んでする人だ。緊張感のある場で授業をすると必ずうまくなる。ただし、時間と努力が必要だが。
上達の極意はよい指導者に指導されることである。その場所がサークルである。各地で行われるセミナーに参加すれば、全国のトップの授業を受けることができる。このことを自分で体感することである。
授業の見方もその教師の力量が反映する。授業を見ていて、あそこの指導がうまいなと思えることがあったら、必ず複数の指導技術が混在している。見る力のない教師にはわからない。授業の分析や解説の力をつけるには、力のある教師にマンツーマンで学ぶのが一番よい。
初心者のうちは、真似を山ほどすることである。同じように再現できたとき、そのことについて分析が可能となる。「ああ、そういうことだったのか」とわかるようになる。
授業は教材研究に裏打ちされていなければならない。まったく関係のないことでも調べ、授業では一切つかわない情報も知っている。これができて教材研究はほぼ完成する。
授業の始めは、張りのある凛とした声でぐっと子どもたちを引きつけることだ。テンションは高いほうがいい。よそ見をしている子どもたちをいっきに引きつけること。当然、声が後ろまで届かなければならない。途中で声が消えてしまう教師はたくさんいる。授業始めの言葉は、授業の柱となるような意味のある言葉でなければならない。教師の服装、歩き方、姿勢も大切である。
子どもへの目線は大事である。ノートや指導案を見ながら授業をするなど、子どもを見ないで授業する教師は多くいる。教科書の問題を読むときも、子どもたちに目を配っていなければならない。ちょっと教科書に目を落とし、子どものほうを見ながら声を出す。これができない教師は多い。
目を子どもたちに配っているが、目が泳いでいる教師も多い。一か所に長々と止まる必要はないが、一人ひとりと目を合わせることは大切である。子どもは教師がちゃんと見ていないとすぐ騒ぎだす。教室で子どもたちにノートを持ってこさせて点検するときは、全体を見ながら「○○さん、やっていますか」と一人ひとりの子どもを見ることが求められる。
あたたかな表情は、教師として身につけなければならない能力である。表情の練習することである。いつもいい表情で授業をしているのと、ぶすっとして授業をしているのとどちらがいいか考えたらすぐわかる。
発問や指示はシンプルで無駄がないこと。明確な発問や指示は子どもたちが思考する際、頭の混乱が生じない。明確な発問や指示となるよう、考え抜くこと。言い直すたびに少しずつ異なるのはよい発問ではない。発問や指示が子どもたちに入り込んでいないときは、もう一度行えばよい。
教師に無駄な言葉や行動が多いと授業のリズムとテンポは崩れてしまう。
(甲本卓司:1960年生まれ、岡山県公立小学校教師。「ジュニア・ボランティア教育」誌編集長)
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