保護者との懇談はどのようにすればよいか
保護者との懇談は年に一度か二度というのが現状であろう。だからこそ、懇談の仕方が大切なのだ。
保護者は担任の印象を家庭で子どもに話すので、次の日から、子どもの担任への接し方も変わってくる。子どもの指導がやりやすくなるか否かは、保護者の抱く印象で決まってくるともいえる。
最初にその子のよさや優れているところを伝えることは絶対に大切なことである。保護者は「この先生はわが子のことをわかってくれている」という安心感をもつものだ。
懇談の際は、共感的姿勢で保護者と向き合うことが必須である。保護者は今、子どものことで何に困っているのかを瞬時に察知し、どうしていくといいのかを共に考えていくことが求められている。
決して教師から保護者に「ものを言い放つ」姿勢で接してはならない。教師の側から矢継早に子どもの課題を言ったりすると、それだけで不快に感じて不信感をもったりする。
子どもの行動で困ることを伝えなければならない時もある。その場合には、きちんと子どもの行動を具体的な姿で伝えるべきである。その後で「おうちでは、いかがですか?」と保護者に確かめ、そうでなければ「学校でも、もう少し様子を見てまいります」と、軽く切り抜けることが望ましい。
また、もし保護者も担任の指摘に家庭でも困っている様子であれば、その子の家庭の生活の仕方などをふまえたうえで、できる具体的な処方を提案し共に考えるようにする。
今の時代、時間にルーズな教師は、それだけでダメである。開始時間は事前に保護者に伝えてある。にもかかわらず、開始時刻に懇談が始められないというのは、それだけで保護者の不快感は増していく。
懇談を終える五分前くらいまでに「おうちの方から、何かお話したいことはありませんか」と切り出すようにし、早めの時間に保護者に話をさせるようにすることも重要である。
なかには保護者が話しすぎたりする場面があるであろう。そのようなときには「申し訳ありませんが、時間になりました。また、いつでもお話をうかがいますので」と言って、教師が席を立つようにすれば、時間を守ることができる。できるだけ要点をとらえて話をし、時間を守る中で、親身に話をしていくと、保護者も納得して、その場を立ってくれる。
(成瀬 仁:新潟県公立小学校教師。オーストラリア公立小学校での勤務経験がある。また、幼稚園の経験もあり、多彩な教職経験を生かし、子どもと環境、教師の雰囲気について考えながら、現役で教壇に立っている)
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