子どもたちがソーシャルスキルを積極的に活用している学級はまとまっていく
対人関係を営む知識と技術のことを、ソーシャルスキルといいます。学習によって向上します。学級は対人関係の体験学習を行う絶好の場だといえます。子どもたちがソーシャルスキルを積極的に活用している学級はまとまっていく、という事実があります。
ソーシャルスキルの考え方を取り入れ、計画的に実践を積み重ねることで、子どもたちの学級生活を充実させたいと思います。
学級づくりをするうえで、各時期に目標となるソーシャルスキルを設定して、定着するように、意識して学習する場面を盛り込んでいくようにします。
本来の教育活動である、授業、学級活動、朝・帰り会の中の一部の時間にソーシャルスキルをうまく取り入れるのです。
例えば、4,5月であれば、
(1)基本的なあいさつ「おはよう」「さようなら」という。
(2)何か失敗したときに「ごめんなさい」と言う。
(3)何かしてもらったときに「ありがとう」と言う。
(4)みんなで決めたルールを守る。
(5)相手に聞こえるような声で話す。
(6)係の仕事は最後までやりとげる。
(7)友だちが話しているときは、その話を最後まで聞く。
(8)友だちのまじめな話は冷やかさないで聞く。
ソーシャルスキルのトレーニングは、つぎのように展開していきます。
(1)学習するスキルの意義を理解させる
学習するソーシャルスキルを強制ではなく、子どもたちが理解できるように説明します。
(2)モデルをみせる
よいモデルや悪いモデルを見せて、具体的に理解させます。よいモデルになる子どもたちがたくさんいます。そういう子どもたちの真似をさせることが、とても有効な学習になります。
(3)ロールプレイ
授業や学級活動の中でライブで練習することができます。このとき大事なのが、スキルを試したときに、楽しく活動できたかどうかということです。人との関わりの楽しさ、喜びが感じられないようでは「言われなくても、自分からやってみよう」という気持ちにはなりません。
ソーシャルスキルは繰り返し練習して、意識しなくても自然とできるようになるのがベストです。
(4)強化する
強化とは、適切な行動ができたとき、ほめたり、微笑んだり、注目したりして、子どもがその行動をとる意欲を高めることです。人間はプラスの評価をもらうと、継続するものです。
大事な点は、何でもほめればよいということではなく、具体的なスキルについて、どのようによかったのかがわかるようにほめることです。
学級でソーシャルスキルを行う利点は、ほめられたり、認められたりしたらうれしい相手として、担任や友だちが周りにたくさんいるということです。認め合いが積極的に行われている学級では、効果はとても高まります。
(河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学教育・総合科学学術院教授。15年間公立学校教諭を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)
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