学級づくりは最初の三日が勝負である
学級が荒れないためにも、やるべきは新年度の最初の三日間なのである。その後の一年間を左右する重要な時である。最初の三日間に、学級をきちんと組み立てれば、その後はうまくいくであろう。逆にのほほんとくらせば、悲惨な学級になるだろう。この三日間だけは、子どもは教師のいうことを素直に聞き、一緒に歩こうと思っているのである。
学級が荒れる原因は、教師としての力が未熟だということにつきる。未熟だから子ども集団に反乱される。
教師の力とは、次の二つどちらも必要だ。
(1)授業を知的に楽しくできる力
子どもたちが熱中して「今日の勉強、面白かったよ」という授業を毎時間やれば、荒れることはない。荒れる授業には心地よいテンポがない。
(2)子どもを統率する力
子どものガキ大将になり、みんなをまとめて動かしていける力である。学級が荒れるのは教師の責任である。学級は自分が統率するという責任感が最も大切である。
統率とは、子どもたちにやる気をおこさせ、やる気を組織し実行させることである。
統率者として教師は、学級を開くにあたって、学級の目標を示す。これからの学級のために、意味のある楽しい目標を示す。それを実現するためのしくみをつくり、ルールを決めなくてはならない。そして実現への小さな一歩を成功のうちにふみ出すことが必要だ。
子どもに話し合わせることも「目標の共有化」「実現の方法の共通理解」にとって有効な方法だ。だが、子どもたちにまかせっぱなしにしてはいけない。
目標を決め、しくみをつくり、ルールを作ったからとて安心してはならない。それが本当に充実したものか、楽しいものか、やりがいがあることかを反省しなければならない。その目標がありきたりで、しくみやルールがつまらないものであるとき、子どもは反乱する。
教師の統率力は、必死に努力しなければ維持できないことである。
教師がどのくらいの力なのか、子どもにさぐりを入れられるのである。「これ、やらなくてはいけないのですか」このような、ささやかな疑問の形で出される。私ならむろん、きっぱりと「言ったはずです。やるのです」と答える。それでも「できないよ」と言ってくれば、「休み時間を削ってでもしなさい」という。
ところが、統率の大切さを理解しない教師は、別の対応をする。「できるだけやりましょうね」「がんばってみようね」などというわけである。これだけで、子どもは「この教師はたいしたことはない」と察する。次の時は「これやりたくないなあ」と言葉は微妙に変化する。そして、一か月のうちに「やっちゃいられねえよ」となるのである。このようなさぐりには、最初にピシッと対処しなくてはいけない。最初の甘さが後悔のもととなる。
子どもはけんか上手である。叱るときは、学級の子ども多数を味方にして、できれば相手が一人の時に叱る方がいい。
叱る時は、きちんとした証拠のある一つのことに限定すること。叱る時は短くていい。きぜんとすること。しつこいのは、味方の子どもも敵にしてしまう。子ども相手のけんかだ。責任感があれば負けることはない。少しでも、ひるんだら終わりである。
(向山洋一:1943年生まれ、元東京都公立小学校教師、教育技術法則化運動代表を務めてきた。教師を退職後、TOSSインターネットランドの運営に力を注いでいる)
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