連絡帳は日常どのように考えて取り扱えばよいか
保護者は連絡帳で自分が書く以上に、担任に書いてほしいと思っている。自分の子どものよいことを連絡帳に書いてくれる教師には、いやな印象はもたないものだ。
保護者は連絡帳で担任の丁寧さを見ているのである。軽んじては危険である。保護者と担任が互いにその子のことを思い、協力し敬意をもちながらつきあっていける関係を保たなければならない。
連絡帳は、担任と保護者をつなぐ唯一の文章交換の場である。どの視点から見ても妥当と認められる内容でなければならない。裁判で証拠になっても「教育上妥当だ」と認定されるような、最大の注意を払って書いていく必要がある。
したがって、簡潔にわかりやすく、短文を組み合わせた文章がよい。それが誤解を防ぐ方法である。その際、字を丁寧に書き、「承知しました」「今後ともご協力お願いいたします」といった丁寧で敬意を示す言葉づかいを心がける。
連絡帳に赤ペンを使う教師は非常識である。人間同士のやりとりなので相手を侮辱していることになる。
教師が連絡帳に書くということは、公的な学校という立場を背負って保護者に伝えていることになる。そのまま文字として残る。その時の状況を伝えきれるものではないので、相手の受けとめ方によって、どんな状況も生じる。
だから、連絡帳には子どものことで、込み入ったことを書くべきでない。込み入ったことや返信が長くなる場合は、直接会うか電話を使って話をする。連絡帳は日常的な連絡手段としてのみ使うようにする。
多忙で急いでいるときや疲れているときにトラブルが生じやすいので、そのようなときほど丁寧な対応をする意識をもつことが大切である。
連絡帳は子どもも見る。子どもに見られては困る内容は「先の件は、後ほどお電話さしあげます。よろしくお願いいたします」と文字にしないで保護者に伝えるようにする。
学級崩壊の最大の原因は、子どもが担任を信用しなくなることだ。この担任はどれだけ大人の社会をわかって、どれだけしか子どもに言わないようにしているかなども、子どもが担任を信頼できる大人と見るかどうかの、重要な要素なのだ。
(成瀬 仁:新潟県公立小学校教師。国立大学教育学部非常勤講師、オーストラリア公立小学校での勤務経験がある。また、幼稚園の経験もあり、多彩な教職経験を生かし、子どもと環境、教師の雰囲気を考ている)
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