子どもたちが主人公の楽しい学級づくり
子どもたちへの愛情と、教育への情熱があればと、甘い気持ちで教師になった1年目、私は教師には向いていないのではないかと真剣に悩みました。
苦しい経験から得たものは大きく、2年目からは一転して教師を天職と思い、私に担任される子どもたちのために、もっと自分を磨かなければと、研究サークルにかたっぱしから通いました。失敗のたびにサークル仲間などに支えられ、多くのことを学びながら教師として育ててもらったと思います。
学校を子どもたちにとって心から楽しいと思える場所にしてやりたいと願い、子どもたちが主人公の楽しい学級づくりをめざして、次のようなさまざまな取り組みをしてきました。
(1)座席はコの字型
子どもたちはコの字型の座席をとても気にいってくれています。いっせいに黒板の方を向かせて「さあ、今から教えてやるぞ」という感じでなくて、何となく「さあ、これからみんなで知恵を出しあって、学びあいましょう」というふうに感じるようです。一人ひとりの顔もよく見えて、声もよくとおります。お互いに顔を見ながら話し合いができます。
(2)楽しいピクニック給食
給食係の仕事はいちばん大変です。かなり実務的な仕事ばかりです。そこで、こぼれても流れて広がる心配のない献立のとき、教室の机を全部うしろにさげて、床にシートを敷いて、班ごとにピクニック気分で給食を食べます。当番も早く終わり、早く食べられるし、おいしく感じるようで大好評です。
(3)学級新聞づくり
学級新聞づくりは班ごとに担当します。子どもたちは新聞づくりの順番がくるのを楽しみにしています。新聞の一番上は学級生活の記録、中段はミニミニ日記、下段は担任から家庭へ、といった内容です。ミニミニ日記はその日にうれしいこと、いやなこと、心にのこっていることを2~3行の日記として子どもたちに書いてもらっています。子どもたちの様子がつかめます。保護者も学校のようすがわかり楽しみにしているようです。
(4)みんな遊び
小学生の間に、思いっきり群れて遊び、友だちとぶつかり合う経験をたくさんさせておくことが大事だと思っています。
「みんな遊び」は月水金の昼休みの10分間です。雨の日は風船バレーボールが人気です。机を教室の壁に押しやって、バトミントンのネットを中央に張り、1試合は班対抗で3分間です。低学年では、ハンカチ落とし、花いちもんめ、鬼ごっこなどをちょっと教えてやると、嬉しそうに遊び始めます。みんなで遊ぶ楽しさを知らない子も多いようです。
(5)お誕生日会
3月に1年間の思い出を聞けば、子どもたちは決まって一番に「お誕生日会」をあげるのです。2~3カ月に一回実施します。誕生月の子どもが教室の前にすわり、小さいころのインタビューが録音されたテープレコーダーに聞き入ります。インタビューは、保護者の都合を聞いて、子どもたちがテープレコーダーを持ってインタビューに行きます。お誕生日会では、お祝いに「班の出しもの」(3分以内)をしてきました。班で力を合わせて一つのものを創りあげます。
(野口美代子:1946年兵庫県生まれ、元兵庫県尼崎市立小学校教師・全国生活指導研究会全国委員)
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