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子どもの教育には熱心だけれど、しつけには無関心な親が増えている

 最近の傾向として、子どもの教育には熱心だけれど、しつけに関しては無関心、という親が増えているようです。そればかりか、「しつけ」という言葉に抵抗感があって「子どもを自由でのびのびと育てたい」ということで、ほとんど子どものやりたい放題にさせている、という親が増えているともいえます。
 しかし、子どもにとって本当に頼りがいのある親とは、ただ甘いだけの親ではなくて、悪いことに対しては、しっかりと壁のようになって立ちふさがってくれるような、ときにはきびしい親なのです。
 親は子どもから「愛される権威」であると同時に「尊敬される権威」であることがたいせつです。
 子どもはよく大人を見ているものですから、たとえきびしく怒られたとしても、それが真剣なもので、その子に対する深い愛情から発するものである場合は、しっかりと受けとめることができます。
 ところが、大人の都合やその場の感情によって子どもをしかったり、しからなかったりするならば、子どもは何にしたがっていいのかが、わからなくなってしまいます。
 そして結局、いつまでも自分の欲求をとおそうとして、まわりの人と常に戦いつづけるような子どもになってしまうおそれがあります。どうも最近の相談を聞いていますと、そういう問題が増えているように思うのです。
 かつての家族では、そのきびしくしかることを、おじいちゃんやお父さんがにない、優しくなぐさめるのは、おばあちゃんやお母さんが受けもつという役割分担がありました。
 しかし、核家族で母親一人で子どもを抱かえている状況では、母親一人がその両方の役割を果たさなければならないのですから、どちらも中途半端になりかねません。
 後でなぐさめてくれる人がいると思えば、思いきりしかることができるでしょうが、しかったその母親が、また、なぐさめ役もやらなければならないのですから、現実はなかなか大変なのです。
 そういうなかで、私たちカウンセラーの役割も、単なる受けとめ役だけではすまされなくなって、最近ではどうもその「きびしい壁」の役割を、になわされることが多くなっているのです。
(三沢直子:1951年生まれ、元明治大学教授。臨床心理士として心理療法など子育て中のお母さんをサポート。NPO法人コミュニティ・カウンセリング・センターなどで、子どもや家族の問題に関わっている職員の研修や、地域のネットワーク作り、親教育支援プログラムの普及に努めている)

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