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学級を対象としたカウンセリングにはどのようなものがあるか

 最近は実にさまざまな学級集団を対象としたつぎのようなアプローチが提唱されてきております。
(1)
構成的グループエンカウンター
 人間関係は頭で考えるよりも体験するほうがずっと効果的です。構成的グループエンカウンターは本音と本音のふれあいのある人間関係をグループでの活動を通して体験させようとするものです。その体験の後に行う分かち合いやふりかえりを大事にします。
 
体験の結果、他者とふれあう喜びを獲得し、お互いに関わりあう方法を学びます。そして、自己理解や他者理解が深まり、自己の確立が促進されるのです。これは集団を対象としたさまざまなアプローチの一番手と言っていいと思います。
(2)
ソーシャルスキル(人間関係のスキル)教育
 今の子どもたちの問題点として、ソーシャルスキル(人間関係のスキル)が未熟である、弱いということが言われています。きょうだいが減り、地域社会との結びつきが弱くなってきて、子どもたちは人間関係を築きにくくなってきている。それがいろいろな問題行動の背景にある。そこで、ソーシャルスキルを積極的に教えていこうという流れが現在非常に強くなってきております。
(3)
アサーション
 アサーションは「相手も自分も大切にした自己表現」です。
 自己表現は三種類あると考えます。まず、自分のことだけ考えて相手のことは考えない、攻撃的な自己表現。 逆に、相手のことは考えるのだけれども、自分のことは控えてしまうといった非主張的な自己表現。そして、我々が目指すべきは、相手も自分も両方とも大事にする自己表現、それをアサーティブな自己表現とか、アサーションというように言っています。こういうアサーションの力を子どもたちに身に付けさせていこうという流れも今は非常に強くなってきています。
(4)
ピアサポート
 ピアサポートとは、「人の話を聞きましょう」ということを教えて、子どもたち同士がお互いにサポートしあうような学校づくりをしようという流れです。これも最近非常に活発になってきているようで、例えば、具体的に小学校の実践ですと、保健委員会の子どもたちをトレーニングして、保健委員会が中心になってサポート活動をするというような実践が報告されています。
(5)
ストレスマネジメント教育
 最近はいろんな災害ですとか事件があると、しばしば心のケアということが言われるわけですけれども、子どもたちがいろんなストレスを抱えているという状況があるわけです。
 ストレスマネジメント教育というのは、そういった子どもたちにストレスについての知識を与えるとともに、どうやってストレスを対処したらよいかというストレスの対処法を積極的に教えていこうという動きです。
(6)
対人関係ゲーム
 筑波大学の田上不二夫先生が提唱されているものですが、大事なのは人間関係の楽しさを子どもたちが体験することだ。とにかく子どもたちに、みんなで群れて遊ぶ楽しさを味わってもらおうというのが、この対人関係ゲームの目的です。
(7)Q
U
 河村茂雄先生が実践されておられるものですが、これは学級経営の評価を目的としたテストです。あちこちの先生方からQUは非常にいいですねと言われることが、最近は増えています。
(
会沢信彦:1965年茨城県生まれ、文教大学教育学部教授。専門は教育心理学。カウンセリング、臨床心理学諸理論に基づいた生徒指導および学級経営を研究)

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