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学級崩壊の根本的な原因と中学校と小学校の学級崩壊の違い

 中学校における学級崩壊は、小学校と違う要素を持っている。小学校のように一人の教師がクラスの授業をすべて担当しているわけではない。仮に、生徒が学級担任の言うことをきかなくなったとしても、授業にはたくさんの教師がかかわっており、時によっては混乱が抑えられるということもありうるわけである。もちろん、クラスの生活が混乱し騒然としている状況では、授業も落ち着いて安定させることは難しいだろうが、ハッキリ学級崩壊という認識をすることは少ないようだ。
 学級崩壊の根本的な原因は、個人第一の自由で平等な社会という、社会の変化にともなう生徒の大きな変化にある。教育改革で「押しつけ・強制をやめ自由にのびのび教育を」という指導が現場に入ってきて、生徒が教師の言うことを聞かない状況が広がっている。生徒は学校で嫌いなこと、つらいことに我慢して努力することがほとんどなくなってしまった。
 私たち教師はこのような生徒を相手に教師をやらざるをえない状況に直面している。混乱は教師個人の問題である、とマスコミや評論家はもとより、教師の多くもそう考えている。しかし、学校の混乱、学級崩壊は社会的必然なのである。生徒の固くて狭い自我は、他人を受け入れようとしなくなり、教育を拒否し始めたのである。
 何人か教師の言うことを聞かずに動きまわる生徒がでてくれば、2~3割の生徒がひきずられることになる。それがクラスの大勢を支配するようになれば学級崩壊の状況が出現するのは自然の成り行きだろう。
 社会的な原因意外に、次のような教師の対応の仕方がその引き金になり、学級の混乱を拡大させることになることも充分考えられる。
(1)
生徒をよく見ずつっこんでいく教師
 熱心で一生懸命な教師である。このような教師は、生徒を無理やり自分の考えるわく組みに押し込めようとするから、反発され、トラブルを拡大することになるだろう。また、生徒を説得することが上からの強制と同じだとは思っていない。しかし、言うことを聞かない言葉の通じない生徒が大量に増えているから、最近はこのような教師はどんどん減少している。
(2)
生徒がいうことを聞かなければ、すぐ引いてしまう教師
 叱ったり、注意したりしても生徒が聞かなければすぐ引いてしまう。これが最近の多数派である。「しょうがないなあ」とグチるのだが、そこまでである。結局、生徒個人の問題だと考えているようだから、混乱していても、それが学級崩壊状態にあるなどと考えもしないのである。子どもの社会的自立のために仕事をしている、という考えがほとんどないようだ。
 最近は、何の戦略も持たず一対一の関係で生徒に向き合おうという教師がほとんどである。クラスという人工的な社会を教師がつくるんだ、という発想がなくなってしまったようだ。生徒がきわめて個性的になり、共同生活を行うことが難しくなっていることは確かだが、教師にクラスという一つの社会をつくろうという考えがなければ、混乱は広がるばかりである。
 中学校では学年を組織しようということが重要だ。各担任や教師が勝手に動くと、最も弱い立場の教師が一人で苦しむことも出てくるし、追い込まれることにもなるのである。中学校では一つのクラスの混乱は学年内に広がり、学年崩壊とも言うべき状況になることは避けられない。学年主任を中心に、学年教師たちが一つの方針のもとに集団的、有機的に動くことが必要である。さらに、学年生徒のリーダーを育て、学年生徒が自分たちで動けるようにすることが必要だろう。
(河上亮一:1943年東京都生まれ、埼玉県公立中学校教諭、教育改革国民会議委員、日本教育大学院教授を経て、埼玉県鶴ケ島市教育委員会教育長、プロ教師の会主宰)

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