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荒れた学級を建て直すための指導ポイントや、正義を取り戻すにはどうすればよいか

 荒れた学級の子どもたちを指示・指導するときや叱るとき、ほめるときのポイントは何か。学級に正義を取り戻すにはどうすればよいか。私は次のような手だてを提案したいと思います。
(1)
負ける「ケンカ」(指示・指導)はしない
 担任が指示した限りは必ず指導しきることが、学級の中での担任の居場所と信頼をつくる第一条件です。
 だから、子どもへの指示は「絶対にできる」という自信のあることだけにします。そのためには、子どもの状況をきっちり読み取る必要があります。
 例えば、「忘れ物を減らそう」と指示して、3人は減るだろうと読んだらとしたら「まず、二人減らそう」と指示するのです。そして3人減ったら担任の勝ちなのです。小さな白星でいいから、積み重ねていくと、徐々に信頼を得てくるのです。主導権を握っているグループと担任との間も同じことで、些細なことでもいいから白星をかさねることが信頼回復の第一なのです。
(2)
叱るときは、下準備してから叱る
 叱られた子どもたちが文句を言えないように、根回しを先にしておいてから叱るのです。
 例えば、朝、教室が汚れているとき叱りません。まず、子どもたちの目の前で担任が掃除をして、子どもたちに見せつけるのです。そうして2時間目が始まったときに、またゴミが落ちていたら「朝、掃除をしたのに、またゴミが落ちているから拾いなさい」「そばにいる○○くん、拾って」と指導していくのです。「ぼくが落としたんじゃない」と言ったら、そこで叱ることが出来るのです。「きみが落としたかどうかは関係ない。教室にゴミが落ちていたら、そばにいる人が拾うのです。クラスの一員なら当然のことです」と、教師が朝掃除をしているわけですから、厳しく言うことができます。
 席替えが決まったら「いいですね。反対はありませんね」などと念を押して、後でもめないようにしておきます。「勝てない」ときには叱らない。これを基本として取り組みましょう。
(3)
警告型の注意をする
 サッカーのイエローカードしレッドカードがわかりやすいですが、叱る前にあらかじめ分からせておいてから注意するのです。例えば、授業中のおしゃべりの注意に使えます。
(4)
教師の説教は短く、子どもの怒りは長く聞く
 子どもが怒りくるっているときには、冷静に評価を挟まず、時間をかけて話を聞いてあげることが大切です。怒りが収まった所で、教師が自分の考えとして意見を少し言うのです。意見について、どう思うかを聞くのです。でも教師の意見を取り入れるかどうかは、子どもに任せる余裕を残しておきましょう。
(5)
子どもの変化をほめる
 できたからほめるのではダメです。変化したことをほめます。荒れている学級ではほめられた状態ではないからです。
(6)
正義は教師が言うのではなく、子どもの中から引き出す
 荒れた状態のなかでは、担任はなんでも押しつけてくると子どもたちの心の中に被害者意識が高まっています。ですから、担任が道徳や正義を一方的に話しても子どもたちの心に響きません。担任が言いたいことは、子どもに聞いて心に眠っている正義を引き出せばいいのです。学級の中で正義を多数派にするためにも、一人ひとりに「何が正しいと思っているのですか」と確認していくことで、正義を呼び起こしていくことが大切なのです。
 みんなの意見を聞いていくと、強い子も弱い子も対等になり、傍観者が無くなって正義が多数派になっていくのです。
(7)
ルールの適用に一貫性を
 この子は特別の事情があると言っても理解してもらえません。
(8)
子どもの良さを探す
 子どもの良さを教師が見つけ語ると、子どもや親に安心感を与えます。子どもに良さを気づかせ、親に展望を持たせることができ、学級を建て直すために非常に大切なことなのです。
(
三上周治:1951年大阪生まれ、小・中・高校の教師を経て京都橘大学教授。小学校で教えながら、奈良教育大学で研究を続けた。科学教育研究協議会全国委員)

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