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授業のうまい教師は、授業の原則をうまく使いこなしている

 教師の中には授業がうまい人もいれば、へたな人もいる。授業がうまい人は、授業の原則をうまく使いこなしている。授業のへたな人は、指示や発問がゴテゴテしていて原則から外れ、子どもの頭は混乱し、ざわつく。それを叱って静かにさせようとする。私なりに考えた原則を選んでみた。
 子どもに指示をするときは一つのことを、短くスパッと「教室をきれいにします。ゴミを拾いなさい」といった一言こそが、子どもを育てていく。「なぜそうするのか」指示の意味を説明せず、ただ「ゴミを拾いなさい」というアマチュア的な指示が多いように思う。子どもへの指示は同時に二つも三つも与えてはいけない。
 指示は必ず全員に伝えなければならない。例えば、子どもが作業中に指示するときには、手にしていたものを全員置かせて、教師の方に向かせるのである。「おへそを先生の方に向けなさい」と全員が教師に集中したのを確認してから指示をするのである。全員に指示しないと、小さなところでボロボロとクラスは崩れていき、いつの間にか大きく崩れてしまう。
 指示して子どもが動きだしたら、指示を追加してはいけない。混乱が生じる。私はしたことがない。一段落した後で修正すればよい。「一人が三回跳んだら、先生の所に集まります」と最後の行動まで示し、指示をだすようにする。
 素人から見たら同じように見えることに対して、くわしく、細かく、分析を加えることができるのがプロである。例えば跳び箱で「助走に気をつけなさい」と言うのは何も指導していないのと同じである。「踏み切りは、足の裏全体で『ドタン』とするのではなくて、トンとはずみがつくように跳ぶのですよ」と指導内容を、細分化して、解釈をし、イメージ化せよ、ということである。
 授業中は、たとえ一人の子どもでも空白の時間をつくってはいけない。授業中に、子どもに課題を与え、子ども一人ひとりを机に呼んで指導することがある。教師は個別指導でテンテコ舞いである。課題をやり終えた子どもたちは、いたずらを始める。やがて教室は騒然となる。そうならないように、何をやっていいのかわからない状態を作ってはならない。そのためには、終わった後の発展課題は必ず用意しておく。
 授業で子どもたちに教えたことは、どれくらいできるようになったのか達成状況を確認しなければならない。確認のために、手をあげさせるのは授業のリズムが崩れる。私は教師生活で、子どもたちに「わかりましたね」と、言ったことはない。私が授業を見ていて「さすがにな」と思う教師は、誰一人「わかりましたね」と言わない。例えば新出の漢字を教える。翌日覚えているか確かめるには、人さし指をあげさせ「空書き」させるのがいい。全体とずれている子が覚えていない子である。全員に朗読させるとき「全員起立。読み終わった人からすわりなさい」というようにさせるといい。授業に集中が生まれ、すぐ確認できる。机間巡視も有力な方法である。授業の途中でさりげなく達成率を確認できるには、確認する技術をいっぱい持っていることが条件となる。
 人間が動く方法は「やる気にさせる」のが一番いい。「やる気にさせる」ときに、最も大切なことは「はげまし続けること」である。体育が苦手な子どもがいる。できないことがある。欠点を克服するよう、絶えずはげまし「この前よりよくなったよ」と言い続けることである。
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向山洋一:1943年生まれ、元東京都公立小学校教師、教育技術法則化運動代表を務めてきた。教師を退職後、TOSSインターネットランドの運営に力を注いでいる)

授業のうまい教師は、授業の原則をうまく使いこなしている

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