保護者のクレームをエスカレートさせないようにするにはどのようすればよいか
保護者から教師を責めるクレームが次々と寄せられています、教師のチームワークが弱くなり、孤立して悩み苦しむ教師も少なくありません。
保護者のクレームがエスカレートしてしまうのは、「教師にこんなことを言われたので腹が立った」「対応した教師の態度が気にくわなかった」といった、初期対応のまずさに起因している場合が多い。最初は電話でのクレームが多い。顔が見えないので、ていねいに親身になって応答することが第一である。ヒートアップして学校にくる保護者には「わざわざ学校までお越しいただきありがとうございます」とお礼を言う。相手の心情に寄り添って言い分を最後まで聴くことに徹する。「つらい思いをさせましたね」など、ねぎらいや共感の言葉で、緊張感をほぐすことができる。多くの保護者は「先生が言い分を聞いてくれた」と、ひとまず振りあげた拳をおろすことが多い。
保護者に批判されても腹をたてず教師側は冷静を保つこと。言ってはならない教師の不用意な発言には、「大げさにしすぎですよ」、「そんな様子はなかった」「お子さんにも問題があります」「私も一生懸命やっているんですがねぇ」「それは○○の問題ですね」「何とかなりますよ」など。
学校の規則を守るのは、子どもたちにこういうふうになってもらいたいからという教師の願いや教育活動のねらいをきちんと伝えなければいけない。こちらの気持ちを伝えるときは「私」を主語にして「私はこのように考えますが、いかがですか」と伝える。学校の意図する方向へ無理やり引っ張らない。共に考えることである。保護者と一緒に悩み、考える姿勢で接するようにする。
教師が家庭訪問して解決できることなら、その日のうちに保護者と話をする。保護者の要望にすぐに対応してくれたという教師の誠意は伝わるはずである。トラブルはその日のうちに対応することが問題を大きくしない第一歩である。教師は日頃からもっと子どもと接し、事情を知り、子どものいいところを見つけ出しておくと、保護者はうちの子のこんなところまで見てくれていると信頼してくれる。
クレームがエスカレートし問題がもつれても、子どもへの指導に全力を尽くすことが解決への糸口になる。「何があってもどの子も好きだ。学級のかけがえのない一員だ」という姿勢で臨めば、保護者は必ず教師のその姿勢に共感してくれるはずである。
(山岡賢三:大阪市公立中学校英語科教師(25年間)、教頭、教育センター指導主事を経て退職し、樟蔭学園英語教育センターコーディネーター。大阪大学小野田教授主催「イチャモン」研究会に所属。大阪市教育センター時代に「保護者との関係づくり」研修プログラムを手掛けた)
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