学級のトラブルを防ぐ考え方とは何か
子どもたちの変化に対して、教師の先入観を捨てなければいけない。指導の出発点を従来のままにしていては、指導が困難となるわけである。教師は自分の実践方法に固執して対処しようとするために、何かとトラブルになることが多いのである。そこには、現実的な対応ができない教師と、学級集団にはおさまりきらない子どもたちとのすれ違いがある。
生徒指導はまず授業からである。学級のトラブルの元になる子どもたちの荒れは、授業に参加できないことに発する場合が多い。子どもたちは基本的には「学びたい」という意欲をもっている。ところが、授業に参加できなければ、その苛立ちを別のところに求めることになる。それが学級のトラブルとなる。
授業を大切にするということは、子どもたちを統制し、一糸乱れぬという意味ではない。一人ひとりの子どもの考えていることをまず受け止める包容力を持つことである。その子がなぜそのように考えたのか聞くことが大事である。このような教師の構えが自然に子どもたちを授業に参加させることになる。そのような関係を保っている限り、少々のトラブルは解決できる。教師と子どもが話し合える関係にあるからだ。
担任をすると、どのような場面でもきちんとできなければ気になり叱ることが多い。完ぺきさを求めるがゆえに、強制力によって子どもを押さえつけることは、決して荒れの解決法にはならない。そんな完ぺきさを求めないことである。そうすれば少しは気が楽になる。
トラブルの多くはその発端が分かりにくい。教師の先入観や勘違いが、大きなトラブルになりかねない。まずは、事実の正確な把握に努めたい。事実の食い違いも往々にして見られるものである。あせってはならない。きちんと記録をとることが大切になる。そうすることで信頼も得られる。
トラブル発生の奥に潜むものも見落としてはならない。多くは背景に原因をもつ。その部分を見落とすと根本的な解決にならない。
学級は「トラブルが起こるところ」と認識していたほうがよい。嘆くより、プラス思考が大事だ。トラブルを起こした時点よりも、関係する子どもたちは、徐々によい方向に向かっていると思うようにすると、ほんの小さなことでもその進歩を認めてあげたいと思うようになる。
私が担任していたときの経験だが、努力していても、いっこうに改善されず家庭訪問を繰り返した時期があった。そんなとき、同僚教師が家庭訪問に同行してくれ「一人で悩まないで、一緒にがんばりましょう」と励ましてくれたことがある。私はうれしく、力強く思った。一人で悩みを抱かえようとせず、相談すると、もやもやが晴れる。相談することは自分の力不足を示すものではない。
(米田 猛:1953年生まれ、奈良県公立中学校・奈良教育大学附属中学校教師(22年)、奈良県教育委員会管理・指導主事(5年)を経て、富山大学人間発達科学部教授)
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