子どもを日ごろから把握し、いじめや不登校にならないようにするにはどうすればよいか
子どもは日々変容していて、友だちとの関わり方も変わっていく。この子はこういう子だと思い込みがちである。
それをなくすために、担任として子どもを観る視点を明確にして記録を取る。例えば、授業・休憩・給食・清掃時等で担任が観て「オヤャ」「ナルホド」と思ったこと、行動に変化が生じた具体的な場面や例、個人とまわりの人間関係等を座席表に書き込む。それを一週間ごとに、一人ひとりの子どものカードに書き込む。一か月ぐらいの期間のものをまとめて読み直して指導に生かす。
しかし、子どもの今のありのままの姿を知るには、日常の子どもの興味や関心、流行についていけなくては時代遅れの先生と言われてしまう。例えば、子どもに人気のあるテレビ番組・タレント・まんが家・歌・歌手・遊び・遊び場所をどれくらい言えるか。
いじめの把握は大変むつかしいが、教師はいつもアンテナを高くして子どもの送る信号を敏感にキャッチしなければならない。例えば、休憩時や放課後、子どもの不審な動きや遊び方、落し物、破損個所がないか調べる。机や壁、ロッカーなどに特定の子どものあだ名や悪口などは大事な信号。ふだん行かないところに級友と出入りしている。ふだん遊ばない子と一緒に遊んでいる。いつもと違う落ち着かない顔色や様子。仲間遊びをしているが動きや表情がさえない。プロレスごっこやボール遊びで特定の子に強く当てる。特定の子どもをからかう。
不登校に至るまでに親や担任に何らかのサインをいつもよりは強く送っているときがある。心の不安や悲しみ、苦しみが表情や行動に出るのである。その子の立場で対応できれば未然に乗り越えられる。例えば、学校の話題をもち出さなくなる。楽しくやっていた遊びをしなくなる。しぶしぶ行動する。遅刻・早退・保健室へ行く回数が増える。忘れ物が増える。学習への集中力がなくなる。友だちと遊ばなくなる。係活動に参加したがらない。
(塚田 亮:元東京都公立小学校長)
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