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学級の荒れを構成的グループ・エンカウンターの活動で人間関係づくりをして防ぐ

 学級担任のリーダーシップは学級崩壊の防止にとても大切です。構成的グループ・エンカウンターの実践は学級担任のリーダーシップが発揮されやすいのでお勧めです。ただし、学級が荒れていないときに効果があるので、できるだけ荒れのないときに実施するのがよい。その理由は、構成的グループ・エンカウンターはグループ体験で本音と本音で感情を交流させようとするわけですから、学級でルール無視やいじめがある状態では難しくなります。
 子どもたちが元気で、授業中騒がしく、協力して全体で取り組むことができにくい学級は、初任者の担任が学級崩壊する場合の、よくある初期のパターンでしょう。まだ何とかなります。一部の子どもの迷惑行為によって嫌な思いをしている仲間がいることに気づけるような指導が必要になります。この時、担任がやたらに叱ったり、わめくように注意したりすると、子どもたちと担任の間の距離は広がり指示が通らなることが多いようです。
 そこで、毅然とした態度を取りながらも、じっくりと諭すように指導し、構成的グループ・エンカウンターで学級を立て直します。
 子ども同士の人間関係づくりをする構成的グループ・エンカウンターの流れは
(1)
これから取り組む活動の目的や方法を、リーダーが具体的に述べる。
(2)
取り組む前に、子どもたちの緊張をほぐし、意欲をもたせる活動を行う。
(3)
グループ体験(エクササイズ)を行う。
(4)
グループ体験で得た感情や思いを、自分や他のメンバーと分かち合う。(シェアリング)
 構成的グループ・エンカウンターのルールは、知り得たことについては口外しない。非難したり批判的・評価的発言をしたりしない。沈黙の自由を守るために発言を強要しない。エクササイズをパスする自由を守るために、エクササイズを強要しない。これらのルールに違反した場合には、リーダーが介入します。
 ルールを守って活動したら、楽しかったと感じるものや、友だちの思いを聴き合えるエクササイズを選びましょう。活動的なものはやんちゃな子も楽しめるので抵抗がすくないでしょう。エクササイズの例として「じゃんけんボーリング」「探偵ごっこ」「人間知恵の輪」「私のお願い聞いて」などがあります。
 学級の荒れが進み、グループの対立、担任に反抗する子どもたちがいたりする状態になれば、子どもたちの人間関係がどうなっているかをきちんととらえることが大切です。「学級診断尺度Q-U」や「ソシオメトリックテスト」などが良いでしょう。
 その上で、どの部分に焦点を当てた構成的グループ・エンカウンターを実施するかを決めます。例えば、仲間はずれをしているグループに焦点をあてるとか、信頼関係を感じられるような体験をさせたいなど、焦点を明確にします。
 そのうえで、学年全体で取り組んだり、リーダーを他の教師にお願いして、担任は子どもたちと一緒に体験するなどの工夫が必要です。エクササイズの例として「みんな集まれ!」「アドジャン」「フルーツバスケット」「ホットシート」などがあります。
(
岸田幸弘:1958年長野県生まれ、長野県内の小中学校教師、長野県教育委員会指導主事を経て、昭和女子大学准教授。認定カウンセラー、認定スーパーヴァイザー、学校心理士、上級教育カウンセラー)

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