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反抗的で挑戦的な子どもの「心の病理と背景」をどのように理解して対応すればよいか

 子どもの問題となる言動の対応には「心の病理と背景」についての教師の理解が大きく関係する。そしてカウンセラーとの連携が必要になる。
 両親の意見の対立、不和が子どもに大きな影響を与える。子どもの反抗的な言動の背景となる場合がある。子どもの自我は両親の温かいまなざしと援助に育まれて健全に成長する。教師を悪口雑言でもって非難するとき、それは両親に向けられるべき非難の置き換えられている場合がある。教師の人格が子どもによって批判されたと解釈してはならない。  
 子どもの屁理屈に対して道徳的な説教を試みてもムダである。否定的な言動でしか自己表現できない子どもには、心境に耳を傾けることから糸口を見つける。否定的な言動についてはコメントを避けて、共感できるものについては最大限のプラス評価を与える。
 子どもと親との関係は思春期のテーマである。特に男子には父親が成長のモデルになる。教師と口論になるのは挑発が目的ではない。父親に代わって話を聞いてくれる健全な男性を求めている。社会規範の習得に望ましくない言動をしたとき、きびしく指導するだけではこころのなかを見誤る。思春期の子どもは反抗するものである。複数の教師による連携が必要になる。子どもの論理を認めながら、根負けしないで対応していると、次第に関係が取れてくる。常に冷静を失わず、冗談で返すことも有効なので、ゆとりが求められる。
 また思春期は自己の身体的イメージに敏感になり、こだわる。異性の存在が気になる。コンプレックスを覆い隠すように反抗的な行動をする。身体的イメージの悩み、対人関係に敏感になっている自己、性的意識などについて話題にできれば問題行動は解消する。ファンタジーとして解決されなければ、現実化する危険が生じる。
 親に虐待された子どもに欠けている体験は、ほめられることである。不快な気持ちに対しては、その感情を先取りして「気分が悪そうだね」「イライラしてるね」などと尋ねることも効果がある。不快な感情が察知されたと感じることにより、自分をふり返るゆとりが生まれる。
 健全な子どもの育成には発達段階に応じて、学童期(小学生)は、成長の基礎となる知識経験の蓄積と社会的意識の獲得である。それを達成するための課題は、基本的生活習慣の形成、基礎的学力の習得、他者の認識と自己の形成、のびのびとした時間と空間の創出である。思春期(中学・高校生)は自分らしさの模索である。それを達成するための課題は、社会の中での自分探し、社会規範の習得、社会的自立に向けた知識や能力の習得、性に関し適切に行動を選択できる力の習得である。
 障害の診断基準(米国精神医学会、2002)()を満たせば精神障害として対応しなければならない。基準を満たさないが、いくつかの症状が認められればカウンセリングの対象となる。
(
)反抗挑戦障害:A 少なくとも半年間授持続する拒絶的、反抗的、挑戦的な行動様式で、以下のうち四つ(それ以上)が存在する。しばしば、(かんしゃく)(大人と口論)(大人の要求・規則に反抗・拒否する)(故意に他人をいらだたせる)(自分の失敗・不作法を他人のせいにする)(神経過敏・他人からいらいらさせられやすい)(怒り・腹を立てる)(意地悪で執念深い)、B その行動上の障害は社会的、学業的、または職業的機能に臨床的に著しい障害を引き起こしている。
(人見一彦:1940年生まれ、元近畿大学医学部教授。専門は精神医学、精神療法、メンタルヘルス。特に学校現場における子どもの不適応問題。小学校から高校までの学校精神保健にコンサルタント・カウンセラーとして関わってきた)

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