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保護者のクレームへの危機対応「さしすせそ」

「さ」最初のひとこと
 クレームを言ってくる保護者は感情的に高ぶっている場合が多い。「会議中なので後にしてほしい」といった教師の事情は通用しない。こじれてしまうのは、そういった教師の初期対応のまずさに起因している場合が多い。相手の心情に寄り添って「どうしたんですか」と聞き、「つらい思いをさせましたね」と、ねぎらいの言葉で緊張感をほぐす。
「し」慎重な応答
 クレーム対応の場合、保護者が感情的になっているので、教師の説明が言いわけとしてとらえられる。筋の通らない話でも「それは違います」などと説教してはいけない。保護者に批判されても、教師は感情的になってはいけない。「嫌な思いをさせましたね」と冷静を保ち、巻き込まれないことである。「私はこのように考えますが、いかがですか」と、保護者と共に考える姿勢で接する。
「す」推測の危険
 子どもが石をぶっつけてガラスを割ったようなとき、教師は「親がもっとしっかり家庭でしつけしておいてくれ」と思いがちである。推測で話をせず事実だけをもとに話すことが大切である。保護者に話をするとき「実は、石を投げてガラスを割ってしまったんです。最近イライラしているみたいで、心配なんですが、心当たりはありませんか」と、保護者と一緒になって解決していこうという姿勢が大事である。
「せ」誠意ある態度
 早く解決しようとして、中途半端な返答をしたり、問題を先送りしてはいけない。親の言い分をじっくりと聴くことに徹する。家庭訪問して解決できることなら、その日のうち話をする。要望にすぐ対応してくれたという教師の誠意が伝わるはずである。トラブルはその日のうちに対応することが問題を大きくしない第一歩である。
「そ」組織が一丸となる
 クレームの相手次第では「共感・傾聴・誠意」といった姿勢ではどうにもならないこともある。一人で背負い込まず、徹底的な情報共有と事実の確認、共同で事にあたることである。難題だと思われることは管理職へ報告し、組織一丸となって解決に当たる。そのためにも、事実経過の記録と報告を怠らないようにする。情報不足は後手に回り、問題を余計にこじらせることになる。保護者との対応は担任だけに任せず、生徒指導主事や管理職もあたり、関係諸機関との連携は管理職が担当する。子どものケアは全職員が役割を明確にして見ていくなど組織一丸となった対応が必要となる。
 わからないことは中途半端な言いわけをせず「その点については調べます」と、必ず後日報告する。子どものために「今できる、具体的な取り組み」を提案し、保護者の納得を得る。できないことはなぜかを説明し、結果の報告を約束する。そのような地道なかかわりが保護者の信頼を得ることになる。
 子どもの悪い点を教師から指摘され、保護者が子どもの言い分を話しているうちにクレームに発展する場合がある。話しを少しそらし、よい点を伝え、安心させる。先生はうちの子のこんなところまで見ていてくれていると保護者が思えば信頼される。教師は、日ごろから子どもと接し、事情を知り、もっと子どものいいところを見つけ出さないといけない。
 もつれても、子どもの指導に全力を尽くすことが解決の糸口になる。「何があっても、どの子も好きだ。学級のかけがえのない一員だ」という姿勢で臨めば、共感してくれるはずである。子どもが心配だから来たと、気になることがあれば家庭訪問するとよい。「先生は子どもの面倒をよく見てくれている」と保護者の見方が変わる。
 わがままを言ってくる親の本音は、子育てに悩み、困り果てた悲鳴である。どんなクレームに対しても教師は誠実に取り組むべきである。子どもは教師に認められればよくなっていく。子どもが変われば、保護者も変わる。教師がちょっと子どもや親に誠実に親切に対応していれば、なくなるクレームはいっぱいある。
(
山岡賢三:大阪市公立中学校英語科教師(25年間)、教頭、教育センター指導主事を経て退職し、樟蔭学園英語教育センターコーディネーター。大阪大学小野田教授主催「イチャモン」研究会に所属。大阪市教育センター時代に「保護者との関係づくり」研修プログラムを手掛けた)

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