もしかして、うちの子が「発達障害?」と気になったときどうすればよいか
ADHD(注意欠陥多動性障害)、アスペルガー症候群、LD(学習障害)という言葉を耳にする機会が増えました。調査(注1)によると小中学生のうち6.5%に発達障害の可能性があるのだそうです。40人学級で「授業中に落ち着きのない行動をとることが多い」など、気になる子が2~3人いるということになります。ほかの子のようにできない、「もしかして」と思ったとき、親にできることは何か。
「ほかの子ができるのに、なんであんたはできないの」と厳しく叱ることは控えたほうがいい。このような子どもにとって「みんなと同じように」というのは、なかなかキツイことなのです。視点を切り替えてください。いちばん困っているのは本人です。この子がどんなことで「困っているか」に目をむけてほしいと思います。
「障害だから」という理由だけで授業中に立ち歩くわけではないのです。たくさんのこのような子どもたちを見てきた家近早苗は、子ども自身が困ったと感じているは「勉強がわからない」「先生の指示がわからない」ことだと言います。授業中に立ち歩くのも「内容がわからなくてつまらなくなった」ということが多いのです。興味しんしんのときに子どもは立ち歩いたりしません。
家庭では、子どもの宿題の様子などを見てあげるといいそうです。「どうしてこうなるの?」と聞いてみて、何にひっかかっているかを見つけてあげるとよい。「30分を過ぎると疲れて集中力がなくなるようです」など、担任に伝えるといいと思います。
親は叱りすぎやアドバイスのしすぎに注意が必要です。タイムリーに手を差し伸べることが最も重要なことです。「大目に見守る」ということも試みてください。例えば、テーブルに牛乳をこぼしたりしたとき、親は怒らず「大目に見る」と、ガミガミ言う機会がぐんと減るのです。こういう子どもたちは、ふだんから怒られていて「自分はダメだ」と思いがちです。大目に見るという行動を加えることで、子どもの自尊心の低下をふせぐことができます。
そして、子どもを見るとき「良い」「悪い」という見方をやめ「おもしろいところを探すのがいいと思います。こういう子たちは、普通の人が思いつかない発想をします。それを「いいか悪いか」で判断する前に、おもしろがってあげてください。
親が気になるのは「ちょっと気になる行動」をとるわが子が周囲から浮いてしまい、いじめられはしないか、ということです。わが子の特徴を知り理解しておくことが大事です。「相手の気持ちを考えて行動しなさい」と言っても、かんたんにできることではありません。「こういう特徴があるから、こんな部分をどうしてカバーしていこうか」と話してみるのもいいと思います。
担任が困って、親に「あまりに落ち着きがないので、発達障害の傾向があるかもしれませんね」と言われたら、親は「どうしてADHDと考えたのですか」と担任に聞いてください。逆に親からも「家ではこんな感じです」と、担任の知りえないことを伝えましょう。より多くの情報を共有することで、子どもの「困ったこと」を少しでも少なくすることができるからです。
学校と家庭でサポートしても「友だちとのトラブルが多い、授業中に騒いでほかの子に迷惑をかける」などの行動が減らない場合には、医療機関を受診するのもひとつの方法です。専門家も交えながら、困った状況を少なくできるのかを考えるためです。ただ、学校は学校のやり方があるので、あくまで病院の報告をし、共有する姿勢でいきましょう。
また、現在の学校に籍を置きながら「通級指導教室」に定期的に通うという方法もあります。言語・情緒障害の軽い症状をもつ子が、特別支援教室をもつ学校などに定期的に通級するという方法です。課題のあるテーマについては通級学級で指導を受けることができるのです。
(注1)2012年文部科学省の公立普通学級の小中学生の全国調査(3県をのぞく)
(石隈利紀:1950年山口県生まれ、筑波大学学生相談室カウンセラー(講師・助教授)、筑波大学教授を経て筑波大学副学長。専門は学校心理学)
(家近早苗:聖徳大学 准教授を経て大阪教育大学教授)
| 固定リンク
「学級崩壊」カテゴリの記事
- 学級崩壊はどのようにして起きるか、その実態と解決に役立つものとは 大塚美和子(2021.07.06)
- 学級崩壊を防ぐには何が大切か?(2021.03.01)
- 学級崩壊を起こす教師、起こさない教師とは(2020.07.16)
- 学級崩壊になったクラスを何回か任されて分かった学級が崩れる要因と、対応の「ツボ」とは(2020.03.27)
- 学級の崩壊の前兆を見逃さず、学級を立て直すには、どうすればよいか(2020.01.11)
「さまざまな子どもの指導」カテゴリの記事
- キレやすい子どもは、脳からみてどのようなのでしょうか(2021.01.06)
- 子どもが授業中に立ち歩きし、改善しないときどうすればよいか(2020.10.23)
- 「キレやすい子」を「キレにくい子」にするためには、どうすればよいか(2020.07.14)
- 授業にやる気のない子どもには、どう対応し、話しかければよいか(2020.02.15)
- キレる子どものタイプと、キレる子どもにどう対応すればよいか(2020.01.23)
「子育て・家庭教育」カテゴリの記事
- 親のダメな叱り方とは 岩立京子・無藤 隆・菅原ますみ(2021.05.06)
- 反抗期の子どもを親はどのように叱ればよいか 福田 健(2021.05.03)
- 聞き上手な親になるにはどうすればよいか 福田 健(2021.04.30)
- 家庭で父親と母親はどのような役割をはたせばよいか 内田玲子(2021.04.19)
- 親はどのように子どもを育てればよいでしょうか(2021.02.25)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント