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子どもに問題が起きたとき、保護者と協力関係を築くにはどのようにすればよいか

 子どもに指導上の問題が起きたとき、保護者と協力して一緒に問題を解決していくには教師はどのようにすべきでしょうか。
 保護者に会ったときに「このお母さんには困ったものだ」と思ったり、保護者を呼び出したときに、保護者は自分の育て方が責められるように感じて不機嫌な場合もあります。「いやだなぁ」と教師は感じることがあるかもしれませんが、しかし、そのような場合ほど、保護者に好感を抱くように心がけます。「お母さんなりに一生懸命なんだなぁ」と、教師は心に余裕をもたせ保護者を理解するようにつとめます。不思議なことですが、困ったなぁと思った保護者でも、だんだんとお互い打ち解けて話をすることができるようになっていきます。
 保護者と話をするとき座る位置は、机をはさんで90°の角度が良い。非常に話しやすい位置となります。上手に話を聴くには、相手の姿勢やペースに合わせ、保護者の話を使っている言葉をそのままに繰り返すことです。保護者は話を受けとめてもらったと感じます。
 まず行うことは、その保護者の苦労を認め、ねぎらうことです。保護者の信頼を得るためにも効果的です。苦労をねぎらうことで、問題に取り組む元気と勇気を保護者に与えることになります。問題を抱かえる保護者と協力関係を築くときに大切なことは、保護者の良き理解者、支えになるということです。苦労をねぎらうという、それだけで保護者は安心します。
 保護者に問題があっても、最初から「こういうところを直してください」という助言は、ほとんど役に立たないでしょう。保護者はできる限り努力や工夫をしてきたはずです。それでもうまくいっていないので、自分を責められたと感じてしまいます。
 助言は「保護者が子どもに何ができるのか、子どもとの関係をどうしていくか」に意識を集中させ、考え、援助していくと早く効果が現われることが多い。家族関係にも変化が起きてくるものです。ヒントになるのは、それまで保護者が行ってきた工夫を尋ねてみることです。その工夫の中で効果的なことを取りあげ評価します。これが一番間違いのない助言の仕方です。
 保護者は解決策を早く知りたがっていることが多い。保護者に話をしてよかったなという気持ちをもって帰ってもらうとよい。助言で一番有効なものは「やめなさい」と言うよりも、「お母さん、それはとっても良いことなので、ぜひ続けてください」と言うことなのです。大切なのは何か新しいことをするのではなく、今うまくやれていることを自信を持って続けることなのです。
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青山洋子:東京都港区立教育センター教育相談員、筑波大学学校教育部技官、駿河台大学講師等を経て中央大学講師。専門は臨床心理学・学校心理学。子どもの攻撃性、社会性、セルフ・コントロール、カウンセリング技法の教授法などを研究)


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