叱ったりするより遊びによって局面を打開するほうが楽しい
教室から子どもたちの笑い声が少しずつ聞こえなくなってきた。とってかわって、子どもたちの騒々しいおしゃべりや教師の険しい声が聞こえるようになってきた。
教室に、教師や子どもたちの明るい笑い声をとりもどさなくてはならなくなってきた。それにはなんといっても、遊びをとりあげることだ。遊びは楽しい活動だからだ。
遊びと学びは相対する活動ではなく、遊ぶことは学ぶことなのである。遊ぶことで、子どもたちは生きた学力を身につけることもできる。だから、担任は大いに遊びを奨励し、学級指導の大半は、遊びや文化活動にとりくむのがよいと思う。注意したり、叱ったりするより、遊びによって局面を打開することのほうがずっとすぐれて楽しいからです。
遊びに割ける時間は少ない。そこで、ちょっとした時間を活用して遊ぶ工夫が求められる。場に応じて、短時間でできる遊びは
(1)短い遊び
クイズやハンドゲーム。クイズなら1分もかからない。
(2)長い遊びを短くして遊ぶ
グループ対抗の遊びは白熱しておもしろいのだが、かなりの時間がかかる。そこで帰りの会で、一対戦ずつとりあげれば5分もかからないうえ、リーグ戦にしたら半月近く楽しむことができる。後の対戦になるほど工夫が加わって激戦が展開される。グループ内で子どもたちの交わりがすすみ、協力性が増してくるからです。
(3)休み時間・昼休みに遊ぶ
鬼ごっこなどがある。鬼ごっこには、交わりのスキルを育てる種目が多い。たとえば、「横切り鬼」などは、わが身を犠牲にして、おとりになり友だちを助けるスリリングな遊びである。こういう遊びは大いに子どもたちに奨励したいものだ。
(横切り鬼:1名の鬼を出し、鬼がAを追いタッチするとAが鬼になる。ところが、鬼とAの間をBが横切ると、鬼はBを追わなくてはならない。Bを追ううち、今度はCが横切ると鬼はCを追わなくてはならない。逃げ手を意図的に救おうとして努めて横切る遊び)
効果的な遊びはいろんな場面で考えられ、つぎのような遊びがある。
「朝の会・帰りの会」(あるかな・ないかな)、「教師と子どもが仲よくなる」(さよならジャイケン)、「先生すごいと言わせる」(3月3日のもちつき)、「教師の話を聞くようになる」(集中カウントダウン)、「学級をひとつにする」(仲間をさがせ)、「グループの団結を強める」(みんなで乗っちゃおう)、「いろんな子が主役になれる」(名探偵コナン)、「学級が荒れてきたとき」(時間当てクイズ)、「学級がつらけてきたとき」(ざぶとんゲットだぜ)、「いじめ克服に生かせる」(ティシュでダーツ)、「子ども同士の理解が深まる」(おとなりさんはだれだっけ)
「子ども同士のつながりを育てる」(グループじゃんけん)、「隣の子と仲よくなる」(山寺のおしょうさん)、「授業の導入に役立つ」(何でもビンゴ)、「授業中の発言をうながす」(3分間グループブレスト)、「授業にあきたときにとりあげる」(フュージョン ハッ)、「子どもたちの規律を育てる」(かたづけっこ)、「掃除の力を育てる」(ごみ集め競争)、「話し合う力を育てる」(みんなで まんが)、「バスの中でやる」(20でドカン)、「静かに遊べて楽しい」(サイレントコーラス)、「校庭をいっぱいに使う」(目玉焼き)、「授業参観日に保護者といっしょにやりたい」(貨物列車)、「鬼ごっこ」(高鬼)
などがある。
くわしくは「『5分間でできる学級遊びベスト90』家本芳郎編著 たんぽぽ出版 2002年」の本に掲載されている。
(家本芳郎:1930-2006年、東京都生まれ。神奈川の小・中学校で約30年、教師生活を送る。退職後、研究、評論、著述、講演活動に入る。長年、全国生活指導研究協議会、日本生活指導研究所の活動に参加。全国教育文化研究所、日本群読教育の会を主宰した)
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