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子どもの記録をつけていくと意外な発見をする、その意外な事実を子どもや親に伝えることでその子の自尊感情が育つ

 一冊の記録ノートを準備します。クラス全員の記録する枠をつくります。各枠(1ページ)には一人ひとりの名前を入れておきます。ちょうど白地図のようなもので、このノートにどんどん子どもの記録をつけていきます。
 ここ何日かで気づいたことを書いていきます。○○君は「算数の時間に一番に計算問題を解いていた」とか、○○さんは「昨日の朝会で委員会の報告をしっかりやれた」と、思いつくまま書き込んでいきます。
 「だいぶ書いたなあ」と思ってノート全体をみると、なんとまだ半分の子どもが書けていないことに気づくでしょう。
 翌日は、昨日全く書けなかった子のことを気にしながら、一日を過ごすことになります。すると、その子の様子がみえてきます。「給食のときにいつもみんなの机をきれいに並べてくれていたんだ」と、その子の行動がみえてきます。記録ノートを書く作業をしなければ、その子の様子はずっと見逃していたかもしれません。
 何でも気づいたことを書いていきます。「帽子をかぶってきた」「漢字のテストで満点をとった」「給食を残さず食べた」「元気だった」など。とにかく書くことです。書けば何かを発見したり、何かの手がかりになるものです。しかし、書かなければそれは見逃され、やがてすっかり忘れ去られてしまいます。最初はなかなか書けませんが、慣れてくるといろいろ書けるようになります。
 慣れてきたら書く内容をできるだけ具体的な内容にしていきます。例えば「元気だった」は「休み時間には一番に運動場に出て、6年生とサッカーの試合をしていた」というふうに、少し詳しく書いていきます。そうしていくことによって、その子どもの姿がどんどんみえるようになります。
 いろいろと行動に問題のある子の記録をつけていると、やはり悪いことの記述が増えていきます。でも、給食の時間にお手伝いするなど、時々意外な発見をすることがあります。意外な発見、これこそ記録ノートの一番大事なところです。そして、その意外な事実を子どもにも親にも伝えることによって、その子の自尊感情は育っていきます。
 逆に「いい子」を演じている子も、SOSを出していることがあります。あるときゴミ箱を蹴ってへこませてしまいました。ちょっとだけ悪いことをしてSOSの信号を出していたのです。「なんであなたが・・・・・」ではなく「しんどいことがあったんだね?」と肩に手をかけて話せる教師でありたいですね。
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仲島正教 1956年生まれ 兵庫県公立小学校教師21年、指導主事5年、48歳で退職。2005年より教育サポーターとして、若手教師対象にセミナーを開いている。若手教師パワーアップセミナー「元気が一番」塾主宰)

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