不人気な教師の原因は何か、優れた教師になるにはどうすればよいか
不人気な教師の原因は、何を言っているのかわからない(プレゼン、実力がない)。授業が面白くない(工夫がない、モチベーションがない)。声が小さい、元気がない、陰気である。怒ってばかりいる。日によって機嫌がよかったり、悪かったりする。えこひいきする。雑談が多い。自慢話が多い。服装がさえない。人間的に、教師としても尊敬できない。生理的に嫌い(教える全ての要素が欠けている)。
この不人気の原因を消すのは容易ではない。しかし、一つ消すと不思議と2つ3つと消えていくのである。どこからでもいいから手をつけよう。
私も、学校の教師を辞めて、初めて予備校の教壇に立ったとき、最初は自信があった。しかし実際は、予備校生は私の授業に関心を示さず、私のクラスから生徒が減っていった。なぜだろうかと思った。学校の現役時代の私の授業は大変人気があった。予備校でも学校と同じ授業をしていたのだ。これが決定的に間違っていたのである。
予備校では、答え合わせ的な教え方では駄目で、答えに導く論理的思考とテクニックが必要である。独自性のある考え方の商品化(これぞ私の究極の教授法)が要求される。
その辺の受験参考書に書いてある通りのことを反復しても生徒はついてこない。いわゆる自分流のバイブルを作らなければならない。それには、過去問を徹底的に調べ、分析することである。その過程の中で、教えることと、教えなくていいことがわかり、入試問題に近い教科書を作ることで、何よりも的中することに気がついたのである。
プロ教師は、切り捨てることを知っているのである。つまりこれはやらなくていいと言い切れるかだ。そのためには過去問を徹底的に分析することが必要不可欠である。
それから私のしたことは、先輩の特に予備校の生徒に絶大な信頼を得ている先生の授業を何回も見学させてもらったのだ。そこから学んだことは教え方の商品化である。
教師は教えるものだと、現役の学校時代は当たり前であったが、教師は自ら学ぶことにあると。徒弟制度と一緒で、すごい奴から盗む、ということである。
私が学んだことは、学者(専門教科に熟知している)。医者(生徒の悩みを取り除く)。易者(生徒の将来にアドバイスできる)。役者(黒板の前で演じる)。芸者(生徒を楽しませる)。いわゆる五者である。まさに優れた教師になる条件といえる。
「教師は魂の演技者であれ」というのはロシアの教育学者マカレンコの言った言葉である。どれだけ演技ができるか。教師自身に生徒の胸を打つ感動の話ができるのか。教師の体験、苦労、挫折、涙、劣等感の部分をどれだけ出せるのか。生徒は教師に無意識に人間性を求めていると思う。教師に負の部分を持てば持つほど、生徒は近づいてくるのだ。
(瀧山敏郎:小学校、中学校、高等学校(教頭)、大学講師、代々木ゼミナール、東進など有名予備校講師(英語)、全国英語研究団体連合会理事を経て、教師アカデミー主宰。予備校講師時代には爆発的な人気があり大教室で立ち見を出すこともあった)
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