注意されても屁理屈をこね、詭弁をろうする子どもをどう指導すればよいか
Aくんは幼稚園の頃から落ち着きがなく、小学校でも授業中にじっと座っていない。高学年になり授業中に突然立ち上がり、注意されても素直に謝らない。「おもしろくない」と屁理屈をこねる。物を壊しても目撃されていないと非を認めない、見つかっても「置いておくのが悪い」と詭弁をろうする。
中学校でもそのような言動はおさまることはない。班行動でも単独行動をする。トラブルとなり強い仲間に足を蹴られ、興奮はおさまらず「復讐してやる」とうそぶく。母親に連絡しても「いくら注意しても聞いてくれない」「どうすることもできません」と無力である。
落ちつきのないAくんは、正しい対応をされないまま、学校でも家庭でも注意ばかりされてきた。ほめられることがなかったために、良い子になろうとする意志が歪められた。わざと目立つ否定的な行為をして関心を引こうとする。
好ましくない行為を取ることによって自己主張しようとする。このような行動を指導する前に、否定的な自己主張に至った心の過程を理解しなければならない。
注意欠陥/多動性障害からはじまり、反抗挑戦的障害、行為障害へと発展していく筋道は、子どもの「破壊的行動のマーチ」とも呼ばれる。これは子どもの自尊心が大切にされないばかりか、それが壊されていく過程でもある。
マイナスの行動を指導する前に、まず日常生活のなかで普通にできていることを取りあげてプラスに評価することが大切である。このような子どもたちにとって普通に振る舞えることが、いかに大変なことかを理解しなければならない。
(人見一彦:1940年生まれ、元近畿大学医学部教授。専門は精神医学、精神療法、メンタルヘルス。特に学校現場における子どもの不適応問題。小学校から高校までの学校精神保健にコンサルタント・カウンセラーとして関わってきた)
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