子どもに知的障害や精神障害が疑われるときどうすればよいか
まず、子どもに知的障害が疑われるときどうすればよいか
学級に軽度の知的障害、アスペルガー障害や高機能自閉症、LDが疑われる子どもがいることが少なくありません。「非常に多動である」「落ち着きがない」「注意集中に問題がある」「衝動的である」などの行動上の問題や「学力や読み書きに問題がある」「努力しても定着しない」「図工や体育ができない」など特定の領域で能力に偏りが見られる特徴があります。
知的障害が疑われた場合、子どもに合った指導や援助を考えるために、保護者に伝え、専門機関と繋げる必要が出てきます。このとき、一番避けたいことは「○○障害」と「この子はこういう子なんだ」とレッテルをはって、それで終わりにしてしまうことです。
「お子さんのために、個性にあった指導・援助を学校としてやっていきたいと考えていますので、一緒に考えていただけませんか」と、その子の特徴を診断・査定することについて保護者に話をもち出すことが大切です。専門相談機関を紹介する場合には、専門家と学校との連携を取りやすい相談機関の人を紹介すると、保護者は安心するでしょう。
「子どもがどういう特徴をもっていて、能力を最大限に伸ばすには、また苦手な能力をカバーするには、どう教えたら良いのか」という視点に立って指導・援助し、保護者と一緒に協力、援助してく姿勢を示すのが重要なのです。
つぎに、子どもに精神障害や神経症と疑われたときはどうすればよいか。
子どもに統合失調症、うつ病等の精神障害がみられることがあります。子どものうつ病は、ただ「やる気がない」としか見えないこともあります。「どうせ僕なんか」「さびしい」という言葉が増えます。成績が下がる、外出したがらなくなる、イライラや怒りっぽくなるなど、攻撃的になる子もいます。
子どもによく見られる神経症としては、わけもなく不安感が感じられる不安神経症、過食や拒食といった摂食障害、抑うつ神経症などがあります。
精神障害や神経症が疑われる場合は、保護者には「問題」としてではなく「心配」として伝えます。受診を勧める必要もあるでしょうが、最初から精神科というと保護者に抵抗があります。病院の紹介が難しい場合には、教育相談室など心理相談の場を紹介し、そこから医療機関に橋渡しをしてもらう方法もあるでしょう。
こうした子どものなかには、刺激の多い学校では問題行動を示しても、家庭ではそれほど問題行動を起こさない子もいます。保護者に理解してもらうのが難しいことも少なくありません。ですが、思春期ごろから起きやすい統合失調症(注)は治療が遅れると、治りにくく悪化してしまいます。精神障害の薬を投薬しなければ治らない症状もあり、自殺未遂が起きることもあり、普通と異なる奇妙な様子に気づいたときは緊急に専門家対応が必要になります。
また、専門機関にかかった後でも、教師の接し方は重要になります。病気は苦しいものです。病気のため意欲が低下したり、薬の服用で行動に偏りや眠くなったりします。「良くやっているね」などの温かい言葉がけが、子どもには嬉しいし、病気の回復を助けることにもなります。教師が具体的にどのように対応したら良いかは、保護者を通して専門医師等からの助言を受けるとよいでしょう。保護者と綿密に連絡を取り合い、家庭・学校・専門機関の三者で、その子どもの援助をしていくのです。
(注)統合失調症:突然の不登校や引きこもりの原因にもなります。幻想や妄想(陽性)、逆に感情が平板になる・意欲や能動性が低下する(陰性)、といったすぐには病気とわかりにくい症状もあります。
(青山洋子:東京都港区立教育センター教育相談員、筑波大学学校教育部技官、駿河台大学講師等を経て中央大学講師。専門は臨床心理学・学校心理学。子どもの攻撃性、社会性、セルフ・コントロール、カウンセリング技法の教授法などを研究)
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