技量の優れた教師はどこがちがうのか
私は目の前にいる教師がどの程度の技量があるのか、10分ほど話せば分かる。授業場面なら3分もあれば、教師の技量の見当はつく。
どこで見極めるか、たとえば表情である。技量のある教師は、表情が豊かなのだ。子どもと視線が合うと、その瞬間に表情が変化する。そのような教師は技量が高い。
そして、ふだんの表情に戻ったとき「相手を大切にする」という雰囲気が漂っている。その表情には「子どもたちが好きでたまらない」という感情が見て取れる。また「授業をすることが楽しくてしかたがない」という表情も。
新米の教師でも、教師の技量が乏しくても、これがあるのなら、間違いなく教師として着実に伸びていく。
ある教育技術で賞を連続してもらい続けている教師から聞いたが「9種類の笑顔を使っていますよ」、「子どもを一度も叱ったことはないですが、子どもはしっかりしていきます」と言っていた。この話を聞いて、教師ならおよその見当がつかなければいけない。自分に何種類の笑顔があるか自己評価をし、9種類を考えてみるのが普通だろう。力量のある教師なら、9種類の笑顔を当然と思うはずである。
もちろん、教師として必要な力量は、子どもとの関係づくり、授業や学級づくり、保護者とのかかわり方など他にもたくさんある。どの教師も毎日同じような問題に直面し悩み、その経験の中から学び、創意工夫して技量を身に付けていくのである。
(小林正幸:1957年群馬県生まれ、東京都港区教育センター教育相談員、東京都立教育研究所相談部研究主事等を経て東京学芸大学教職大学院教授。不登校を始め学校不適応、ソーシャルスキル教育、教育相談、教育技術を研究)
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