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いじめは、どのように理解して対応すればよいか

 いじめは「対人関係上の問題」である。人間関係の改善が重要である。日本のいじめの多くは仲間はずしで、教室で発生することが多い。同じ学級の子どもからいじめを受ける割合が約8割ある。ふだんから一緒に遊んだり話したりしている、仲のよい友だちからのいじめが多い。もちろん教室以外の場所で恐喝や暴力をともなういじめが行われることがある。
 子どもたちの多くは、学級の中で自分は友だちから受け入れられているのだろうかと、内心びくびくしながら学校生活をおくっています。いじめ対策にとって大事な視点は、子どもたちが学級の中で友だちに強い圧力を感じていることへの理解です。担任の目が揺れ動く一人ひとりの子どもに注がれていくことが必要です。
 いじめられる子どもの多くは、まわりの子どもや教師から敬遠されやすい「いじめられやすさを持っている」という特徴があります。
 たとえば、身体に障害をもつ子ども、みんなより動作が遅い子ども、帰国子女や転校生などはいじめられやすい。協調性の乏しい子どもや自己中心的な子どものように平均より偏った行動をする子どもは、排除しようとする力がはたらき、いじめの原因となります。また、まじめで優等生の子どもなどが、しっとやねたみからいじめを受けたりします。
 いじめられている子どもに、いじめを誘発する要因があったとしても、解決の第一歩は、いじめられている子どものつらさや悲しさに深く共感し、くやしさや苦しみを共有していくことです。このことが、いじめられている子どもの心の扉を開くきっかけとなります。いじめに結びつく要因があったとしても、それは今後、改善したり補ったりしていくべき、その子の教育課題であり、個別にサポートしていく必要がある。この視点はいじめ解決のベースとなる考え方で極めて重要です。
 いじめ解決は次の六つの段階があり、できれば複数の教師による対応が望ましい。
(1)
いじめられている子どもに事情を聴く
 苦しい胸の内を十分に共感して受容する。初めは言いにくいので焦らずかかわること。
(2)
いじめている子どもの事情を聴く
 ふてぶてしい態度をとる子どもがいるが、教師が頭ごなしに叱ると、反感をかい問題をこじらせかねない。なぜいじめてしまったのか、その感情と問題の中核を理解するようにする。本心を受けとめてもらうと、いじめられた子のつらさを気づかせる力となる。
(3)
いじめに加わった仲間に事情を聴く
 いじめのターゲットにならないよう「やめろ」と言えなかった心理を共感してあげると、自分をふり返る機会となる。
(4)
いじめられている子どもの保護者に説明する
 子どもの了解をえて、事実関係の解明を最優先し、いじめについてどのように対応していくかを保護者に説明する。
(5)
いじめている子どもの保護者に説明する
 いじめの事実を子どもに確認したうえで、保護者に連絡する。いじめられている子どもの苦しみを伝え、いじめの非人間性について本人を交えて話し合う。今後の対応については親同士の憶測で行動しないように伝える。事実を十分に確認せず対応した場合、不信感をつのらせることになる。子どもが十分に納得していない段階で謝らせると問題が長期化する恐れがある。この問題の解決を通して子どもの成長を促したいという姿勢を保護者に伝え続けること。
(6)
当事者間の解決のあと、いじめについて学級で話し合いの場をつくる
 自分の心と向き合うよい機会となる。いじめは自尊心を傷つけることの認識が深まる。つらいことが言えない要因に学級で自由に話せない雰囲気が影響している。できる限り、感じたこと、気づいたことなど、正直な気持ちが出せるように話し合うのがポイントである。いじめ問題の解決を通して新しい人間理解の機会とするのである。担任のリーダーシップが求められる。
(
池島徳大:1951年生まれ、奈良教育大学教授。臨床心理士、学校心理士。専門は、いじめ・不登校などの学校教育臨床、生徒指導)

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