子どもを叱るときや反抗期に親が気をつけなければいけないことはなにか
叱るということは「その行動をしてはいけない」と、子どもに学習させることです。親は叱ったり、ほめたりすることを通して、何がよい行為であり、何が悪い行為か親が持っている価値観、人生観、道徳観などを子どもに伝えているのです。だから効果的な叱り方をしてほしいのです。
たとえば、子どもが部屋でおもちゃを、ちらかしっぱなしにしたときに「いつも、ちらかしっぱなしなんだから、だらしなくてダメな子ね。お母さんはそういう子は大嫌いよ」と叱ることは、かたづけなかった行為を叱るというよりも、子どもの性格の欠点を責めてしまっているために、子どもを否定しています。これでは、子どもは自分にマイナスのイメージをもってしまいます。
子どもを育てるときは、叱らずにほめてばかりというわけにはいきません。叱るべきときには、きちんと叱らないといけないのに、「注意すると、かえって面倒だから」と、きちんと叱れない親が増えています。それでは、子どもは自己中心的なわがままな子になってしまいます。
叱ると、泣いたり怒ったりするので、一度注意したことを「うるさいから、まあいいわ」と、途中で妥協してしまってはしつけになりません。「していいこと」と「してはいけないこと」のけじめをはっきりさせることが大切です。
たとえば、万引きをしたら、きちんと叱る必要があります。ちょっとしたいたずらと同じレベルで叱ってはいけません。子どもは「たいしたことない」と思ってしまいます。
万引きしたときは気迫をもって本気で叱らなければなりません。子どものそばに寄って、しゃがんで肩に手をおき、子どもの目を見ながら、「店の物だから絶対にとってはいけないよ、そういうことをするとお母さんはとっても悲しいわ」と、静かに真面目に言って聞かせることです。子どもはいつもとは違う叱り方をされたことで「悪いことなんだ」ということがわかります。もし、「もってきちゃだめよ」とか「しょうがないわね、じゃあ代金を払ってあげるから」と対応していると、万引きを悪いとは思わず、お母さんがなんとかしてくれるとか、見つからなければやってもいいと思ってしまうでしょう。
自分や人に危険が及ぶようなことや言葉で人を傷つけるなど、人間として、してはいけないことをしたとき、小さな子でもきちんと叱らなければいけません。
叱るとき、つぎのような言葉を絶対に使わないようにします。
子どもがいたずらをしたとき、悪いのは行為だけなのに「いやな子ね」「悪い子ね」と、人間性までも否定するような叱り方はしないでください。
子どもが失敗したとき「何をやっているの! ダメじゃないの!」と叱ると、何がいけないのか理解できず、同じ失敗をくり返すことになります。たとえば「電車の中で騒いだら他の人の迷惑になるからダメょ」と注意すれば、次にどうすればいいかわかります。子どもが理解し、納得できる叱り方をしましょう。簡潔にパッと叱ってさっと終わりにすると、子どもの心に素直に入っていきます。
子どもが甘えて、ねだるとき親が「今日だけよ」といった、一貫性のない叱り方では、しつけは定着しません。
「お母さんはあなたのために叱っているのよ」という叱り方は、子どもにとっては恩着せがましいと思わせ、反発心を起こさせます。
2~3歳頃、子どもに反抗期がやってきて「イヤ」を連発するようになります。子どもは親の言うようにではなく、自分でやりたいのです。親は「子どもが言うことを聞かなくなった」と映るのです。「イヤ」と言われて、親が子どもと対等になってケンカをして、うまくいくはずがありません。子どもがかんしゃくを起こして親に「嫌い」と言うこともありますが、これは本音ではありません。
反抗期の親の対応には三つの方法があります。まず、親が自立的な反抗を喜び、どうすれば成長に結びつけられるか考えて対応することです。二つめは、いきなり怒らないことです。自立しようとしているわけですから、子どもがやることを親は根気強く見守ってあげてください。できなくてかんしゃくを起こしそうになる寸前に、「まだ無理よ」と言うのではなく、さりげなく手を貸してあげることです。三つめは、子どもと一緒にどうすればいいかを判断したり、納得させることです。親としての思いを伝えながら、ある程度のところで結論をだします。
反抗期の子どもと一日中家にいると、につまってしまうことがあります。なにも言わなくてもいいから、くすぐったり、子どもと転げ回ったりして、笑いだすと気分がすっきりします。人間の心身の健康の基本は歩くことです。子どもと散歩すると、子どもは何かをみつけたりすることがよくあります。子どもを笑わせたり、歩かせることは大切です。
親は自信をもって子どもに「大好きよ」というメッセージを送ると、子どもは安心して反抗期をスムーズに卒業していくでしょう。
(波多野ミキ:1934年生まれ、教育者でカウンセラー、元女優、翻訳家。波多野ファミリースクールで副理事長として教育活動を行う。また、日本家庭福祉会理事長や東京家庭裁判所の家事調停協会副会長を務めた)
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