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教師に必要な資質とは何か、また身につけるにはどのようにすればよいか

 よく言われるのが情熱や信念という言葉ですが、ある教育委員会の人事担当者は、打たれ強さを強調します。あこがれの教職に採用されても、辞めてしまう実態があるからです。子どもや保護者が怖くなった、担当の仕事がこなせないという理由が大半だそうです。ひとりで悩まず、先輩教師のアドバイスを聞きながら頑張ってほしいものです。
 教師に必要な資質(力量)は、教育技術が優れていることや、子どもの学力を向上させる力でしょう。しかし、私はこれだけで教育問題が解決するとは思えないのです。はっきり言えることは「教師として」というより「人間として」どうか、という視点で教師の資質を考えた方が妥当であるという現実です。
 子どもが教師を好きになれば、少々授業がうまくなくても成績は向上するものですから、教師自身の「人間性の向上」こそ重要です。教師の不祥事の根底もここにあります。
 教師の資質(力量)は、ある意味、天分的な能力の面が多いのですが、それをいくら言葉で説明し、マニュアルに沿って研修しても習得は難しいものです。そういった実践を通して獲得した教育技術を知っている先輩教師と一緒に実践しながら、言葉ではない部分を伝えていくことが大切です。これは大切な教育技術の伝承であるわけです。これは「暗黙知」と言われるもので、それがいま必要なのです。この伝承には教師のゆとりが必要なのです。
 私は大学の教員養成の仕事で就職のお手伝いをしていますが、ある傾向に気がつきました。現場実習で地元のレジャー施設のイベントの企画に学生を関わらせています。教員採用試験の結果と学生の企画力が関係しています。元来、学校は楽しく、生き生きとしているところです。教師の様々なアイデアが学校を楽しくしています。しかし、学校現場は現在、どうもそういった方向を向いているようにはおもえません。
 教師になった頃の私はしっかりした教師ではなかったように思います。その後、幾多の失敗を重ねながら、いまの私があるとすれば、教師というものは子どもとともに歩みながら、一緒に成長するものだと確信しています。
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阪根健二 1954年神戸生まれ、香川県公立中学校教師、指導主事、教頭、香川大学助教授を経て鳴門教育大学教授。専門は学校危機管理,生徒指導)

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