保護者とトラブルが起きないようにするには、保護者とどのように接すればよいか
保護者にお知らせのプリント一枚でも「いつもご協力ありがとうございます」と書かれていたり、懇談会で「いつも何かとご協力ありがとうございます」という言葉があると、保護者の受けとめ方もずいぶん違ってきます。保護者も「こちらこそ」という気持ちになって謙虚になってきます。人は「ありがとう」と言われるとうれしくなるものです。自分に感謝してくれた人に対して好感を持ちます。保護者には、日ごろから感謝の気持ちをしっかり伝えておくようにします。
事務連絡でも笑顔で言うのと無表情で言うのとでは、相手に与える印象は大違いになります。笑顔で言われると、言われた人もうれしくなり、笑顔で「ありがとうございます」と返事をしてくれるものです。無表情で言うと、冷たい印象を与えてしまい、言われたほうも笑顔を返したりはしないものです。
笑顔は相手の心を和ませ、安心させる力があります。ほとんどの人の普通の顔は、口角が3~10度下の方へ下がっているため、相手からはまるで怒っているように見えます。親しい友人と話すときは自然に笑顔で話しているものです。ふだんから、人と話をするときには笑顔で話す習慣を作っていれば、だれとでもできるようになります。無理に笑わなくても「イー」という要領で口を左右に広げ、その口元をキープしたまましゃべるだけで、しぜんに笑顔で話しているように見えます。保護者と話すときにトライしてみてください。保護者とは笑顔で話をするだけでも仲よくなれます。
保護者とコミュニケーションが大切と言われても「どんな話をすればいいのかわからない」という教師は、まずは保護者をほめてください。あたりまえのことを口にすればいいのです。「いつも元気で明るい声ですね」「どのようにして○○くんのように、何でもよく食べる子どもに育てられたのですか」と感じたことを言えばお世辞とは思われません。すると保護者はしぜんと笑顔になり、自分からいろいろ話すようになり、会話が弾むようになります。「今日、先生に言わせてもらおう」と思ったことも「言うのはやめよう」となることもあります。人は自分をほめてくれる人に対して好感を抱くものです。好感を持った人に対しては、少々の不満が気にならなくなります。満足点を探すようになります。しぜんに「いい関係」ができ、いつのまにか笑顔で話し合うようになっていくものです。
保護者に「言いにくいこと」を言うときは、いきなり言わず、まずはお互いが笑顔になる話をした後に、思い出したように言うと素直に聞いてもらいやすい。例えば「○○さんは、本当に○○が好きなんですね」など、保護者が「そうなんですよ」などと笑顔になっていく話を最初にするのです。人間は笑顔になったときは気分がよく、心もおおらかになっています。教師の話を素直に聞ける状態になっていて、いきなり切り出したときとは全然違う反応が返ってきます。
保護者に言いにくい話、気分が悪くなる話をするときは、保護者の顔を見るなり、いきなり切り出してしまうと、素直に「そうですか」と言ったりはできないものなのです。保護者の顔色が変わり、反論が返ってくることが多いものです。人はいやな話を突然言われたら、動揺し、自己防衛しようとして認めないとする気持ちがわいてきます。ワンクッション置いて、笑顔になってから聞かされると、落ち着いて聞けるものです。
(原坂一郎:1956年神戸生まれ、23年間神戸市立保育所に保育士として勤務を経て、KANSAIこども研究所長。マスコミからスーパー保育士と呼ばれていた)
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