« 教え上手な教師とは、どのようなものを持った教師か | トップページ | 保護者とトラブルが起きないようにするには、保護者とどのように接すればよいか »

教師の悩みで最も多いのは「保護者との対応のしかた」、どう対応すればよいか

 私は「教師を支える会」の代表として全国の学校の教師の悩みを聞いてきました。年間数十校の学校を訪れ、教師の悩みの相談に乗っています。教師の悩みは大きく分けて、「いじめ、学級の荒れなど、子どもたちへの対応」「教師同士の連携の難しさ」「保護者とのつきあい方」の三つです。
 特に、困った保護者とのつきあい方を教えてほしいという依頼が最も多かった。その内容は、自分のことで精一杯で子どもことに無関心で、教師の声に耳を貸さない親。教師のささいな言動にも目を見張り、執拗なクレームで教師をノイローゼに追い込む親。授業参観中におしゃべりをして授業を妨害していることに気がつかない親。そんな親たちにどう対応すればいいのかわからず、多くの教師は悩んでいます。「子どもは問題を起こせば指導できますが、親を指導するわけにもいきません。親が変わらないとどうしようもない」と漏らします。
 私に相談した教師から、「困った親」のパターンは「なんで、ウチの子だけ言われなきゃならないんですかと、すぐに逆切れする」、「親の生活が乱れ、子どもに無関心で放ったらかし」「教師をなめ、子どもの前でも教師の悪口を平気で言って、教師に難癖ばかりつける」「わが子に嫌われたくないので、わが子に迎合し、教師パッシングする」といった、自己中心的で人間関係が苦手な親。耐性が低く、子どもが批判されると自分が傷つけられたように思って逆ギレしてしまう親。我慢することを知らない親などがいます。
 では、このような保護者に教師はどうすればよいのでしょうか。理不尽なことを言ってくる親に「正論」での説得は通用しません。通用するような相手なら、最初から理不尽なことなど言ってきません。説得すればするほど「どうしてわかってくれないんだ!」と頭に血が上がってきます。
 こんな時は「説得しよう」という欲は捨て、まず「関係づくり」に徹すること。「信頼できる関係づくり」に徹することです。
 そのためのポイントは、第一に、とにかく相手の話をよく「聞く」ことです。教師は話すのが商売なので、やたらとしゃべりすぎる傾向があります。第二に、親を尊重すること。その気持ちをかたちで伝える。例えば、教師が一人で会うのではなく、管理職と一緒に会い、お茶を出す。第三に、子どもをほめる。問題をもつ子どもはいつも批判ばかりされてきています。その子どもの長所を見つけてほめる、関係が良くなります。
 このように、まず「関係づくり」に徹したうえで、最後に具体的なお願いをしましょう。
 問題の子どもを見ていくと、その背後には問題のある親がいることが少なくありません。親が子どもの前で学校の悪口をいっていると、どうしたって子どもも教師に反感を持つようになります。この状態がエスカレートすると学級崩壊の素地となることもあります。ふだんから親が子どもの言いなりになっていると、ワガママな子どもになり、教師を振り回して学級崩壊のきっかけとなりやすい。また、放ったらかしの親の子どもは、親がかまってくれない、さみしさで愛情に飢え、それを埋めるために非行する子どもが多い。
 このような親にどのように対応すればよいのでしょうか。教師はとかく「親が変わらなくては、この子の問題は解決しない」と考えがちです。しかし、一般的に大人はなかなか変わるものではありません。変えるためにはすごい根気とエネルギーと時間が必要です。そして、それてもうまくいかないと、「親がああだから、この子を変えるのは無理だ」ということになり、教師は意欲を失ってしまいがちです。私がよくアドバイスするのは「親を変えるのはあきらめましょう」、「目の前の子どもと勝負する!」ということです。子どもが問題行動を起こしたとき、親に原因を求めるのではなく、「目の前の子どもと勝負する!」、「学校でできることを精いっぱいやろう」と発想を切り替えたほうが、やる気がでますし、何よりも具体的な解決策が思いつきやすいものです。
 現在はまさに、教師受難の時代です。子どもも変わり、親も変わって、多くの教師は対応に四苦八苦しています。そんな時、「私は一人」と思い込まず、周りをよく見渡してください。同じような思いをしている教師がいるものです。そして、愚痴をこぼし合うのです。一人で悩むのと、二人で悩むのとは大違いです。三人になると文殊の知恵です。この三人が中心となって新たな学校の方向性がつくられていくことが少なくありません。私が「悩める教師が学校を救う」と言っているのは、そんな意味なのです。
 また、学校外での教師同士のネットワークも大切です。同じ志を抱いている教師仲間は、安心して話すことができます。「ホッとできる教師仲間」を確保しておくことが、何よりも大きな支えとなります。
(諸富祥彦:1963年生まれ、明治大学教授。専門は臨床心理学、カウンセリング心理学。現場教師の作戦参謀としてアドバイスを教師に与えている)

|

« 教え上手な教師とは、どのようなものを持った教師か | トップページ | 保護者とトラブルが起きないようにするには、保護者とどのように接すればよいか »

保護者にどう対応するか」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/173207/61980786

この記事へのトラックバック一覧です: 教師の悩みで最も多いのは「保護者との対応のしかた」、どう対応すればよいか:

« 教え上手な教師とは、どのようなものを持った教師か | トップページ | 保護者とトラブルが起きないようにするには、保護者とどのように接すればよいか »