国語科:教材を読むとき一回一回「初心で」読むと発見があり感動が生まれる
教材を読むとき、その一回一回を「初心で」読むことが望ましい。そうすることによって読む度に新たな発見があり、感動が生まれるからである。
読みを進めながら、私はつぎのようなことをする。
(1)ほ、ほう、と思った所に線を引く。
(2)いい表現だなあ、すばらしい言葉だなあと思った所に波線を引く。
(3)これはキーワードだ、と思った所を四角で囲む。
(4)ここは大事なところだ、この表現の言葉が分からなくてはいけない、というような所には小さな○を連ねたりする。
(5)子どもには、この意味は分かるまい、難しいだろうなあ、と思う所には◎を連ねたり、「?」をつけたりする。
私は、授業をする教材については、どんなに少なくとも二十回は通して読むだろう。苦痛ではない。楽しいのである。そんなことをしながら、授業をする場面や箇所を絞りこんでいく。
授業で使うところは、私の場合、子どもの「向上的変容」が実現できる可能性が高い所ということになる。それは、要するにつぎのような所である。
(1)子どもには、とてもこの深い意味は分からないだろうという所。あるいは、そういう所が含まれている表現。
(2)子どもは、きっとこの所は勘違いをして誤読をするのではあるまいか。私が指導を加えなければ、きっとその誤りに気付かぬままで終わるだろうという場所。
(3)子どもの力ではきっと浅く、狭く、断片的、羅列的にしか理解できないだろうというような所。
要するに、子どもの力だけでは、「読み過ごす」「読み流す」「浅くしか読みとれない」「誤った読みとりをする」「偏った読みとりをする」「羅列的に読みとり、構造的には読みとれない」だろう、という所を私は授業場面に選ぶのだ。
換言すれば「子どもの、不備・不足・不十分」が生ずるであろうという所を、何度も読み返しながら探し当てるのである。というよりも、何度も読んでいると何となくそれらに気付いてくる。それらが見えてくる、のである。
(野口芳宏:1936年生まれ、元小学校校長、大学名誉教授、千葉県教育委員、授業道場野口塾等主宰)
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