子どもは「どんな教材に興味があるのか」をどのようにして知るか
子どもたちは、一人ひとり、その子なりに教材に対して興味をもっている。しかし、普通の状態では外から見えない。それが、見学をしたり、何か物を見せたりすると、子どもがどんな教材に興味をもっているか見えてくる。
たとえば、「パン工場」の見学をすると、A児は、機械にものすごく興味を示し、B児は、パンの種類や味のことに興味を示し、質問もする。子どもたちの興味は一人ひとり異なる。
同じパン工場を見ても、このように見方の違いが出てくる。この違いは、一人ひとりの子どもの経験や知識の違いであり、子どもの中にある教材についての興味の違いである。それが、何かの活動をすると表出してくる。
授業で、子どもに教材を提示すれば、子どもの中にある教材についての興味は表出するが、これでは遅い。授業する前に、あらかじめ子どもの興味をわかっている方がよい。
そのために、調査という名で、予備の教材を子どもにぶつけてみて、その反応をさぐる方法がある。子どもが動き出すか動かないか、動く場合、どんな動き方をするか、などをさぐって、子どもの中にどんな教材に興味があるか推測するのである。
また、ふだんの子どもたちの生活、特に遊びなどに注意してさぐる。あるいは、他の教科指導をしているとき、子どもの興味・関心・欲求などが、どのへんにあるかさぐるのである。
この意味で、授業は次の授業のための調査の時間、実態さぐりの時間でもある。
(有田和正:1935-2014年、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授、東北福祉大学教授、同特任教授を歴任した。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、数百の教材を開発、授業の名人といわれた)
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