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被害者意識を持つ、子どもの面倒を見ない、子離れができない保護者はどのようにすればよいか

(1)被害者意識をもちやすい保護者
 被害者意識は、これまでに不当な扱いを受けた体験や、心理的に侵害された不幸な体験がある場合が多いほど抱きやすい意識です。自分の辛い体験とどこか似た出来事があると、自分への攻撃や侵害であるように感じられることがあります。そこに不安と恐怖の感情があります。防衛のための反応は二通りあり、怒りや攻撃と、かかわりを避けようとすることです。
 不安や恐れがありますから、安心できるかかわりが教師に求められます。保護者の不安や恐れを受け容れ、教師が味方である姿勢を示し続けることが大切です。無理に説得したり、保護者を責めると被害者意識を強めるのでしてはいけません。保護者に安心感を与える親和的な関係となり、保護者の不安や恐れに付き合うことです。
(2)
親離れ・子離れができない保護者
 過保護な保護者は「子どもがひ弱で、自分がいないとダメなので」と考え、子どもに任せることが不安なのです。そのため先手、先手を打ちます。「あなたは、まだ、一人でできない」と、子どもにメッセージを与えるのです。子どもに不安が伝播します。
 このような保護者は不安感が強いのです。その不安が保護者に意識されていません。ですから、「心配なんですね」「任せられないんですね」と言うことで、徐々に問題点に気づくようにしていきます。
(3)
子どもの面倒を見ない保護者
 保護者が身勝手な場合や何らかの障害があって子どものケアができない場合があります。地域の民生委員や自治会に協力しながら、保護者を専門家に繋いでいく必要があるかも知れません。子どもの世話が極度になされていない場合は、児童相談所へ通知を考えてもよいでしょう。
 特に身勝手な保護者の場合、責めたくなりますが、関係が切断されやすいので慎みます。あくまでも「子どもを心配している」という思いで、丁寧に保護者と接触し、子どものケアを向上させていくよう様々な工夫をしていく必要がある。
(4)
子どもに厳しすぎる保護者
 子どものために厳しくしていると保護者は考えています。保護者が厳しすぎると、子どもが感情をコントロールできず、突如、情緒が混乱することが増えます。「子どもをさらによくする」ために、もっとより良い方法がないか、一緒に考えます。
 虐待のおそれもあります。多くの場合、厳しく接することで子どもが委縮します。保護者の願うように動けなくなり、それに苛立った保護者が、さらに子どもに厳しくし、悪循環になります。虐待は児童相談所などの専門機関との連携を視野に入れねばなりません。とんでもない保護者だと思うと一緒に考えることができなくなります。
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小林正幸:1957年群馬県生まれ、東京都港区教育センター教育相談員、東京都立教育研究所相談部研究主事等を経て東京学芸大学教職大学院教授。不登校を始め学校不適応、ソーシャルスキル教育、教育相談、教育技術を研究)

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