授業で黒板に板書するときの原則や技術にはどのようなものがあるか
黒板に何を書けばよいのか? それは「この時間に、これだけは何としてもわからせたい」というものを、きっちり書くべきである。他のものは極力書かないこと。そのためには、板書計画を立てておかねばうまくいかない。
きちんと板書して、話したり、説明すれば子どもの認識率は80%になる。板書せず口頭で話すだけだと20%に認識率がおちる。板書をうまいこと書くことで、子どもを引きつけることもできる。
板書は固定観念にとらわれないこと。これは大事だと思ったら、びっくりするような大きさで書いたり、逆に小さな字で書いたりする。強調した板書にしたいものだ。ワクにはまらない思考をさせるには、ワクにはまらない板書や発問が必要である。内容の豊かな板書を美しく、大きく、目立つようにすべきである。
板書の上手な人は、かならず教えたい「的を射た」必要最少限の要点がわかりやすいかたちで書かれている。要点を絞って、単語に近いようなかたちの簡素な文で記すのが板書技術の大原則なのです。核となる部分や勘どころはきちんと書かれているので、それを読み返せば、教えたことの内容や流れがしっかりと理解できる。
発問で子どものいろんな反応をしっかり「板書」して、これを一つにしぼるのだぞ、ということに気づかせなければならない。
子どもの意見を的確なことばで書く。そうすることで、構造的な板書ができ、今、何を学習しているのか、この1時間にどんな学習をしたのかが、はっきりとした板書になる。板書は子どもの意見や考えも拾いあげて「自分の考えや発言が大事にされている」と思えるように、反映する場所でなくてはなりません。学習内容と子どもの反応が交差する場が黒板なのです。
黒板は教師と子どもの交流の場ですから、ていねいな板書をすれば、子どものノートも自然ときれいになります。板書の大切さはもっと見直されるべきだと思います。
板書に興味をもたせることは、ひいては子どものノートに関心をもたせることになる。「いいノートは、いい板書から」と言える。そして「いい板書は、子どものやる気さえ引き出す」ものである。板書すると、子どもたちが考える間ができる。
黒板全面をいっぱいに使うのが板書の原則です。ただし、黒板の両端部分の右下端、左下端は見にくいので書かないようにする。大事なことはいちばん目立つ真ん中の上部あたりに書くようにします。
板書は、子どもの力に合わせた、文字の大きさとスピードで書く。板書の文字が小さすぎる教師が多い。教師が自分で書きやすい大きさで書くからです。板書がへたな教師はたいてい字が小さい。大きな字を書いているうちに板書もうまくなってくるものなのです。あくまで子どもを主体に考えて「少し大きすぎるかな?」と思えるくらいの大きさでちょうどいい。文字の大きさは、一番後ろの子どもにちょうどよい大きさで書くことだ。
子どもたちに文字が見えるように板書する。そのために、しゃがんだり、体をずらして書く。筆順も確認できる。
私はチョークの色を、「問題・はてな?」は黄色、「大切な言葉・用語」は赤色、「必ず覚える用語・その他」は白色という約束を子どもとしていた。チョークはやわらかいものがよい。
板書で重要なのは消し方です。消し方を工夫することで、学習内容の確認や効果的な復習をすることができます。たとうば、白で書かれた部分を消し、赤の重要な部分や黄色の「はてな?」部分だけを残して、それを復唱させる。逆に、重要ポイントだけを消して「いま消したところに、どんなことが書いてありましたか?」などとたずねる。教え終わったあとも虫食い状態の板書を残しておいて、次の時間のはじめに埋めさせてから消すという方法もあります。こうした方法によって、子どもたちの理解力はより深まります。また、板書を子どもはとても大切に考えるようになり、ノートの取り方にも反映していくのです。
私は、毎時間「日付」を書くことさえ考えて行った。大きく、小さく、漢字、英語、昔の月の呼び名も使って書いた。子どもたちは「今度はどんなことを書くか」と楽しみにしていた。
(有田和正:1935-2014年、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授、東北福祉大学教授、同特任教授を歴任した。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、数百の教材を開発、授業の名人といわれた)
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