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非行の解決には家庭の「抱かえる力、柔軟に対応する力、問題に向き合う力」で随分変わってしまう

 私は警視庁の少年センターで子どものことで悩んでいる親や少年、教師などからの相談を受け、一緒に考える仕事をしてきました。非行関係の相談が多いのですが、内容はケース・バイ・ケースです。家庭の状況は千差万別で、さまざまな事情や背景があります。まず、相談者の話を聞くことからスタートし、問題をだんだんと浮き彫りにして、解決を模索するという作業の繰り返しです。
 相談は、なるべく早い解決を目指してお話を聴くことになります。短時間でみるみる良くなるケースと、なかなか解決の糸口が見えなくて時間がかかってしまうケースに分けられます。早期発見、早期対応が功を奏するというのは、非行問題にも当てはまると思います。
 早い段階で家族が子どもの様子の変化に気づいて、心配して自発的に相談に来てくれる場合は一般的に予後が良いのですが、事態が深刻化してから周りの勧めで相談に来た場合は、なかなか時間がかかりそうだ感じたりします。
 家族や家庭が持っている力の差で解決までの道筋や要する時間も随分変わってしまうことが数多くありました。家族の力とは、抱かえる力とか、柔軟に対応する力、問題に向き合う力といったものになるかと思います。こういった子どもの問題をうまく抱えられない家庭が確実に増えてきたと感じます。
 こうした家庭の力の乏しい極端な例が虐待のある家庭だと思います。おなかをすかせて冷蔵庫にあるものを勝手に食べたら怒られて殴られたとか、本当に切ない話を聞きます。子どもは弱者なのだと痛感します。荒くれた非行少年も例外ではありません。いろいろなことをして親にアピールしているわけです。このアピールを上手にキャッチしてもらえばいいのですが、そうでないと、どんどんエスカレートしてしまいます。
 相談は基本的には秘密厳守です。でも相談者に了解をもらって、学校の先生に連絡をして今後の対策について考えたりします。こうしたつながりは、すべてのケースで支えになり予後はいいと思います。
 立ち直りは、やはり早ければ早いに越したことはないと思います。洞察できる力をもった家族や家庭はいいのですが、それが難しいときに頼りになるのが、身内以外の人とのつながり、地域のつながりだと思います。
(
青木 修:警視庁少年育成課少年センター副主査。少年非行などの問題の相談を受けている 臨床心理士)

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