友だちのような教師の学級は崩壊する、子どもは厳しさと優しさの両面を兼ね備えた教師についていく
最近、友だちのような先生をよく見かけるようになりました。楽しそうにじゃれ合っていて、とても賑やかに騒いでいます。どちらが先生なのか分からない感じがする時もあります。一見、教師と子どもたちは仲が良さそうで、ほほえましく思います。
しかし、このような教室は崩れていきます。一か月ほど過ぎた頃から教室ががやがやと賑やかになります。2カ月も経つと学級が崩れ始め、学習も成立しなくなります。あんなに担任と子どもたちが仲良くしていたのに不思議に思われる光景です。
崩壊する「からくり」は、友だちのような教師になって、何でも気軽に話していけるということです。
子どもたちは、教師と気軽に話せることを望んでいるわけではありません。子どもは、「毅然として教室が安全で、安心できる居場所にしてくれる」教師を望んでいます。「子どものことを真剣に考え、問題や悩みを抱かえたときに、きちんと対処する方向を示してくれる」そんな教師を望んでいます。「この先生なら大丈夫」という安心感が生まれたとき、初めて子どもは教師を信頼します。
気軽に話せることは、子どもと教師の関係を保っていくためには大切なことですが、気軽さが、子どもとの信頼を生むのではありません。ここを誤解しないようにすることが、教師と子どもとの関係づくりでは極めて大切なことです。
だから、教師と子どもたちとの間には、毅然とした一線を確保しておくことを第一に考えなければいけないのです。私の37年間の教師生活の経験から言いますと、「厳しい教師」を決して子どもたちは嫌っていないのです。子どもは、厳しさと優しさの両面を兼ね備えた教師についていきます。ときには「冗談を言っておもしろく」、ときには「厳しく毅然として怖い感じ」の教師を子どもたちは信頼しています。
(野中信行:1947年生まれ、元横浜市立公立小学校教師、学級組織論を研究、実践を私家版で発行した。全国各地で教師向けの講座やセミナーを行っている)
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