小学校高学年のいじめ指導はどのようにすればよいか
小学校高学年になると、友だちどうしの結びつきが強くなってきて、今まで何とも感じていなかった友だちの言動が許せなく感じるようにもなり、感情的な対立が目立つようになる。こんなとき、友だち関係にちょっとしたトラブルが、いじめに発展することがある。学級の子どもたちの友だち関係を細かく観察し、いじめにつながる言動の早期発見に努めることが大切である。
にいじめ問題の意識調査をすると「先生に言いたくない」という項目が際だって高い数値を示す。理由を聞くと「告げ口をしたといって、さらにひどいいじめにあう」「先生は、数回の指導でいじめは解決したとして、その後、何もしてくれない」いう。いじめ問題は、早期に発見して指導にあたると同時に、解決した後のケアが大切である。
抵抗できない子どもを追いつめるような行為を繰り返している子どもに、いかに人間として卑劣なことであるかを理解させ、反省させることが大切である。ただし、学級全員でいじめる子どもの名前を挙げて話し合うことは、感情的な対立や、陰で陰湿な報復行為を拡大させることになりやすいので、一般的な事例の形で「そのとき自分なら・・・」という形で考えさせるようにするとよい。
いじめを受けた子どもの心の傷は深い。指導した後も、子どもたちの様子の観察を怠ってはならない。「指導したのだから、いじめ問題は解決した」と軽々しく考えてはならない。いじめの問題は複雑で指導が難しいという特徴がある。
いじめの早期発見のポイントは、子どもの遊びやグループでの活動の際、特定の子どもが疎外されるような不自然な動きはないか。口数の少ない子・行動のゆっくりな子の日常生活に変化はないか。今までよくおしゃべりしていた子が急に会話が少なくなっていないか。生活ノート・日記指導の中で特定の子どものことが話題になっていないか。子どもの担任への態度に変化はないか。身体的な変化はないか。などが考えられる。
(石塚清司:元埼玉県公立小学校校長)
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