授業の導入は、教材の一番おいしいところから提示すると成功する
授業はスイカである。スイカは一番おいしいところから食べる。授業の教材も、一番面白いところから提示することだ。そうすれば導入は成功すること間違いなしだ。
子どもが引き付けられる一番強いものは「実物」である。りんごを3個出して「どれが一番おいしいでしょう?」と問うだけで、よだれを出してくる。
小学2年生に「直径30cm、2m」くらいのパンを、紙に巻いてかついで教室に持ち込んだときなど、あいさつもしないで追究した。
「パンのにおいがするよ!」
「こんな大きなパンが、あるわけないだろう!」
「そうだね。でも、パンのにおいがするよね!」
もう、見たくて、見たくてたまらない状態になったとき、少しずつあけてみせる。
あるいは、クラスの子ども全員起立させておく。ある県の地図を出して
「この県は、何県ですか?」と問う。
「県名がわかった人は座って、ノートに書きなさい」と指示する。
子どもたちは、横の子と相談したり、地図帳で調べたりする。これが自然にできるクラスは優れた学級である。
しかし、多くのクラスは、こちらがサジェストしないと、相談もしないし、調べもしない。でも、何とか座りたい、と一生懸命考えている。つまり集中している。
「全員、起立させて、問いかけをし、わかった子は座らせる」という方法は、子どもの心をつかむのに一番簡単で、しかも、確実な方法である。
子どもの心をつかむには、ちょっとやさしいくらいの問題・資料を、最初に出すのがよい。歴史の授業など、手描きのイラストを提示することが多い。
横の子どもが教えたりしているクラスは「助け合い」のよくできるクラスである。
県名がすぐにわかった子をほめる。逆に、わからないで立って調べている子を「がんばっているね」とほめる。「一人でも堂々と立っているよ。わからないことは、恥ずかしいことではないからね。わからないことがわからないのが恥ずかしいのだよ」と、一人立っている子をほめる。これで、子どもがわからなくても大丈夫だと安心する。実は、安心すると実力を発揮するのである。多くの教師は、これを逆にとらえている。
いずれにしても、導入5分で子どもの心をつかむには
(1)楽しい(面白い)勉強らしい
(2)あまりむずかしくはないようだ
(3)調べたり、相談してもよいらしい
(4)がんばれば、ほめてくれる
といった心境に子どもをさせることである。
(有田和正:1935-2014年、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授、東北福祉大学教授、同特任教授を歴任した。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、数百の教材を開発、授業の名人といわれた)
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