学習指導は子どもが自ら学習するようにすることなのに、教科書通りの無難な授業でよいのか
「今の若い教師の指導に、文句のいいようがないですよ」と、ある指導主事の話。それほど立派なのかと思ったら、そうではなかった。教科書通りの授業をしているのである。教えている教師もおもしろくないだろうが、子どももおもしろくない。
しかし、「校長も、親も、教科書通りきちんと教えているから文句のいいようがない」という授業をしているというのである。教科書を教えているから、教科書準拠の市販テストのできもよい。
「もっとおもしろく授業をやりなさいよ」といったら、「教科書通りに授業をやっているのが悪いのですか?」と開きなおるという。
冒険しよう、少しはおもしろくしようという気は全くない。ただひたすら「教科書を忠実に教える」ことに徹している若い教師が結構いると聞いて驚いている。
学習指導するというということは、「子どもが、自ら学習するようにすること」である。教科書を忠実に教えている教師に「教科書をひたすら教え込むことで、自ら子どもが学習するようになるのか」と、問いかけるべきである。
文句をいわれないようなことをすることが教育でない。子どもが意欲を燃やして追究し、自らつかんだ問題を必死で解決していくようにすることが教育である。
そうすると、子どもが成長する。子どもの成長をうながすのが教育である。
(有田和正:1935-2014年、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授、東北福祉大学教授、同特任教授を歴任した。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、数百の教材を開発、授業の名人といわれた)
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