教師には社会に貢献する教師、授業に打ち込む教師、反省的実践家としての教師がいる
(1)社会に貢献する教師
教育の担い手として、子どもに対する献身的な教育愛や、教育の仕事に対する強い専心性、地域の文化振興に尽力するなど、熱心で面倒見のいい教師。
(2)授業の熟達者としての教師
授業や教材研究にうちこむ研究熱心な教師。すぐれた学習指導法をつくりだし、新たな教育技術や教材を開発し、その普及につとめていてく。
そのために、基礎的な原理を知識として習得し、授業記録などをもとにした研究を行い、法則的に認識し、それを具体化していくための技術を習熟していくという形をとる。
しかし、教育は子どもという不確実な動きをみせる人を相手にしているので、ものづくりのように技術でカバーできるのは、ごく限られた部分でしかない。大部分は経験的な勘やコツを頼りに対応していくことになる。また、技術による操作性への過度の期待は、子どもたちの学びを固定化し、ドラマ性を見失わせていくことにもなる。
(3)反省的実践家としての教師
これまで支配的であった理論の実践化とは異なる「実践のなかの理論」という考えから、反省的実践家という概念をD.A.ショーンが提起している。
教育実践は、生きた教師と子どもの間につくりだされる即興的な活動の連続である。このひとコマごとに、経験に基づく即座の判断と行為を教師が行っている。
その実践の渦中でリアルタイムに遂行される「行為の反省」と事後に出来事を振り返る「反省」との、らせん的な反省的思考のなかで獲得されていく。
具体的にいうならば、教師自身の行為に即して瞬時に形づくられていった理解の意味を問い直し、出来事の構造や問題をより深くとらえる認識の枠組みの発見と組みかえを行うのである。
反省(省察)の種類としては、
(1)技術的反省
教師の行為が目的達成に有効になされたかどうかを分析的に行う。
(2)実践的反省
事実を物語的に記述し、解釈的アプローチで内的な意味を深める。
(3)批判的反省
社会的・歴史的・政治的文脈を熟慮した次元でなされる。
(船橋一男 : 1959年神奈川県横浜市生まれ、埼玉大学教育学部教授。生活教育、生活綴り方、生活指導の研究を主に手がける。日本生活教育連盟会員・フレネ教育研究会会員)
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