生命を輝かせて生きるという教育を施していくべきだ
生命を輝かせて生きるという教育を施していくべきだと野々村直道はつぎのように述べています。
島根県にある海星高校野球部の監督時代、私は広島県江田島で合宿した。旧日本海軍の兵学校の特攻隊の遺品を展示した資料館に生徒たちを連れていって死を直視させてきた。資料館で、同じ年齢の少年の遺書を読み、国や家族のために、自ら進んで死地に赴き若い命を奉じた事実を知らせたのだ。
命を自分のために使うことしか知らなかった生徒たちは、少年たちに衝撃を受けた。死と向き合うことで、本当の生命の輝きを自覚できたのだ。
生徒たちは、祖国愛や家族愛の深さに心を打たれ、死を覚悟した少年たちの心に触れ、魂がゆさぶられ、感謝と真心をもって野球の練習に取り組み始めた。
命をかけた行為を知ったことで、今まで辛いと思っていた練習への見方が変わり、怠け心は恥ずかしいことだと気づいたのだ。言い訳をしたり、弱音を吐かなくなったのです。明らかに生き様を変え、腹一杯食べられるいまの社会に感謝しだしたのだ。
生徒たちは好きな野球ができ、甲子園をめざせる平和な社会は当たり前だと思っていたが、それが実はすごいことだと気づいた。すべてが感謝から始まった。
驚いたことに、チームは江田島合宿を始めてから10年間で九回、甲子園に出場できた。この結果は、若くして命を散華した少年たちの心に触れたことと無縁ではない。
誰にも等しく訪れる死というものを自覚し、その時までは与えられた生命に感謝して強く生き、人生を全うすることが大切なのである。死という終焉に向けて、どう生命を輝かせて生きるか。そういう教育を施していくべきだと思う。
(野々村直道:1951年島根県生まれ、甲子園に9度も出場した元高校野球部監督、教育評価家)
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